更新日: 2019.05.17 子育て

出産時にもらえるお金とは?

執筆者 : マネラボ

出産時にもらえるお金とは?
出産にはたくさんのお金がかかる人生の大イベントですが、一方で様々な給付金などが用意されています。
 
いざという時はお金のことを考えている時間などないはず……その時になって慌てないように事前に準備しておくことが大切です。
 
どんなお金があるのか、日米で公認会計士の資格を持つ森井じゅんさんに詳しくお聞きしました。
 
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出産時にもらえるお金というのは?

出産は病気ではないため、原則として健康保険が使えません。そのため、出産にかかる費用は高額になりがちです。
 
こうした出費をサポートするため、さまざまな制度や手当が準備されています。
 
妊婦検診の助成金や出産費用に対応する出産育児一時金、産休中の出産手当金、つわりや切迫早産で入院や自宅療養中の生活を保障する傷病手当金、お住まいの自治体からの出産祝い金など多種多様です。
 
しかしながら、こうした制度の全てを全員が受けられるわけではありません。
 
例えば、出産手当金や傷病手当金は会社等にお勤めで、お勤め先の健康保険に加入している人だけが対象です。
 
また、お住まいの自治体によって出産祝い金の金額は異なり、数万円から数十万円など様々です。3人目以降の子どもについては100万円以上になるところもあります。
 
また、祝い金だけでなく祝い品がもらえたり割引が使えたり、その他の支援を受けることができる自治体もあります。
 
加えて、会社等によっては福利厚生として出産祝い金や追加的な支給をしているところもあります。
 
さらに、加入している健康保険によっては、付加的な手当を上乗せしているところもあります。
 
まずは、お勤めの会社や加入している健康保険、お住まいの市区町村に確認してみましょう。
 

出産育児一時金

一言で言えば、出産にかかるお金を負担してもらえるというものです。基本的に、一児につき42万円の補助が受けられます。
 
出産後に申請し一時金を受け取ることもできますが、事前に手続を行う事で、加入する健康保険から直接病院に支給してもらうことも可能です。その場合には、42万円を超えた部分のみを実費負担すればよく、大きな額の出産費用を準備しなくて済みます。
 
出産費用が42万円を下回った場合には、病院または自身で手続を行い、差額が健康保険から振り込まれる事になります。
 
出産育児一時金は、国民健康保険でも会社等の健康保険でも支給しています。つまり、自営業や夫の扶養に入っている場合でも受け取ることができるのです。
 
ただし、保険料を滞納している場合には、一時金がもらえなかったり、滞納していた保険料に充当されたりするケースもあります。
 

出産手当金

出産手当金は、出産のために仕事をお休みした人がもらえるお金です。つまり、会社等へお勤めの方が対象の産休中の手当です。
 
対象となるのは会社等のお勤め先の健康保険に加入している人です。契約社員やパート等雇用形態は関係ありません。一方で、ご自身が自営業であるなど、国民健康保険に加入している方は対象となりません。
 
基本的には、産前42日・産後56日の期間のうち、働けずにお給料がもらえない期間に対して手当がもらえます。ざっくりとした目安になりますが、働いていた時の3分の2程度です。
 
3分の2、という数字は少なく感じるかもしれません。しかし、産休中の手当について、健康保険料・厚生年金保険料は免除されますし、雇用保険料も天引きされません。また、課税対象とならないため、所得税も引かれません。
 
納めなくてはならないのは、基本的に、前年収入をもとに税額の決まる住民税のみです。そのため、手取りで考えると思ったよりもたくさんもらえたと感じる方が多いようです。
 
ただし、出産手当金が振り込まれるのは、申請後1~2ヶ月かかることが多いので注意が必要です。
 
申請については、一般的に会社が協会けんぽや組合健保の窓口とやり取りします。会社を通さずにご自身で行う場合にも窓口は同様です。
 
申請書には、会社に書いてもらう箇所・病院で書いてもらう箇所などがあるほか、賃金台帳などの添付書類も必要になります。ギリギリになって焦らずに済むように、余裕をもった申請書の準備をお勧めします。
 
また、一年以上会社の健康保険に加入していた等の条件を満たす場合には、出産を期に退職した場合でも出産手当金を受けることができます。詳しくは、会社や健康保険の窓口に相談してみましょう。
 

申請することで戻ってくるお金はあるのか

医療費控除は、実費負担した医療費が一定の金額を超えた場合に、税金が安くなるという制度です。会社等で税金が天引きされている場合には、確定申告をおこなうことで税金が還付されます。一般的に10万円を超えると還付となりますが、給与収入でおよそ300万円以下であれば、10万円に満たなくとも還付が受けられます。
 
医療費控除の対象は、入院費用や診察・薬代のほか、検査費用や通院にかかる交通費など実費負担部分です。世帯単位で控除を受ける事ができるので、ご自身に収入がない場合でも、例えば夫の確定申告でまとめて控除を申請できるので、医療費の領収書はしっかり取っておきましょう。
 
また、医療費が高額になった場合には高額療養費として、お金を受け取ることができます。具体的には、帝王切開などの健康保険が適用される手術などにより、一定の自己負担限度額を超えた実費負担額が健康保険から支給されます。
 
一定の自己負担額は所得により異なります。非課税者等であれば35,400円を超えた実費負担部分を受け取ることができます。
 
医療費控除や高額療養費ふくめ、全てのこうした制度や手当は自動的に適用され、勝手に振り込まれるものではありません。ご自身で申請したり、確定申告をしたりする必要があります。
 
まずは、ご自身がどんな制度が対象になり利用可能か、情報収集をしてみましょう。
 
TEXT:マネラボ お金と投資の知っトク研究所

森井じゅん(もりい じゅん)
公認会計士/米国ワシントン州公認会計士/税理士/FP。

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