更新日: 2023.07.26 子育て
年収いくらから児童手当の「対象外」? 高所得者はもらえない?
そこで、児童手当の対象について確認していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
そもそも児童手当とは
児童手当とは、中学校卒業までの児童を養育している方に対し、市区町村より支給される手当です。支給額は子どもの年齢や数によって異なり、子ども1人当たり1万5000円ないし1万円となります(所得制限限度額以上、所得上限限度額未満の場合、特例給付として5000円の支給となります)。
【図表1】
出典:内閣府 児童手当制度のご案内
なお、3歳以上小学校修了前までの第3子以降は1万5000円となりますが、ここでいう第3子以降とは、高校卒業までの児童のうち、3子目以降と計算します。児童手当の対象となる子のうち3人目以降という数え方ではありません。
児童手当は毎月支給されるわけではなく、年3回(6月、10月、2月)にまとめて支給されます。
高所得者は児童手当をもらえない?
児童手当には所得制限があります。児童手当には所得制限限度額と所得上限限度額という2つの基準が設定されています。
所得制限限度額以上になると、児童手当の金額が5000円に下がり、特例給付という形で支給されます。そして、さらに収入が増え、所得上限限度額に達すると、児童手当は支給されなくなります。具体的に所得制限限度額と所得上限限度額がいくらになるのかは収入や扶養親族の数によって異なるため確認が必要です。
参考までに、児童一人に年収103万円以下の妻という世帯の場合、年収917万8000円が所得制限限度額に、1162万円が所得上限限度額になります。
【図表2】
出典:内閣府 児童手当制度のご案内
申請しておらず受け取れていないということもある
意外な盲点かもしれませんが、児童手当は申請しなければ受け取れません。対象となる条件を満たしていても、認定請求という手続きにて市区町村に申請し、認定を受けることが必要です。
認定を受けると、原則として申請した月の翌月分から支給されることになります。申請が遅れると遅れた月分の児童手当が受け取れないこともあるため注意が必要です。
万が一申請が遅れたとしても、15日特例という制度を用いることで申請月からの支給に間に合う可能性があります。15日特例とは、出生や転入した日(異動日)といった児童手当申請可能事由の生じた日が月末に近い場合、申請日が翌月になってもその翌日から15日以内であれば申請月分から受けられるという制度です。
手続きの詳細についてはお住いの市区町村役場にご相談ください。
児童手当の所得制限が撤廃される予定
政府が令和5年に発表した「こども未来戦略方針」の案によれば、政府は児童手当の拡充を狙って所得制限を撤廃するとしています。これが実現すれば、所得が高い方でも児童手当が減額されたり支給が受けられなかったりということがなくなります。
また、支給期間も現状の中学生から高校生までが対象となるうえ、子どもが3人以上存在する世帯は、第3子以降の子の児童手当を3万円へと引き上げることを目標にするそうです。
政府は2024年度中の実施を目指して検討していくとしており、今後の児童手当の拡充に期待が寄せられます。
児童手当は収入が一定以上の高所得者には支給されない
児童手当は所得制限限度額と所得上限限度額という制限があり、所得上限限度額以上になると児童手当が支給されなくなります。
ただし、2024年度の実施を目指し、前述のように所得制限が撤廃され、さらには対象となる子どもの範囲を高校生まで広げるなど、制度の拡充が検討される予定です。
子育て世帯の方は児童手当について、今後の動向も含め内容についてしっかりと確認しておきましょう。
出典
内閣府 児童手当制度のご案内
内閣府 「こども未来戦略方針」案
執筆者:柘植輝
行政書士