更新日: 2023.08.16 その他暮らし
同僚がいつも昼休憩を「2~3分」過ぎてから戻ってくるのが気になります。その分の給与は引かれますか?
今回は、昼休憩から戻ってくるのが遅れた場合の給与の考え方について解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも移動は休憩時間に含まれるのか?
休憩時間については、労働基準法第34条で明確に決められています。使用者は、労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合は最低でも45分間、労働時間が8時間を超える場合は最低でも1時間の休憩時間を与えなければなりません。
休憩時間とは「労働から完全に離れている時間」のことをいいます。対して、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことです。つまり、昼休憩のときに電話や客の応対をしている場合は休憩時間とはいえません。
今回は、昼休憩から戻ってくる際に2~3分遅れが出るという問題です。この場合、移動時間が休憩時間に含まれるのか、それとも労働時間に含まれるのかで対応は変わってきます。
まず理解しておきたいのは、休憩時間の過ごし方は使用者の指揮命令によるものではないということです。どこで昼休憩をとるかは、原則として社員自身が自由に決められます。そのため、昼休憩にともなう移動時間も休憩時間に含まれると考えるのが一般的です。
今回のように、毎回2~3分程度の遅れが生じるといっても、他の社員は午後の業務開始に間に合っています。例えば、社員食堂と職場がかなり離れているなど、誰もが移動に時間を要するわけではありません。昼休憩が12~13時であれば、12時になってから離席し、13時には戻っている必要があります。
業務開始が遅れたときの給与はどうなる?
先ほども説明したように、労働時間の定義とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」です。例えば、営業先から職場へ戻るときの移動時間は、労働時間として扱われます。この場合の要因は「会社に戻ることが義務付けられている」ことです。
会議で他の場所に移動するときも同様の考え方になります。会議は、会場と到着時間が決められており、そこに社員の自由意志はありません。職場から会議場までの移動に要する時間も労働時間と考えるのが一般的であり、給与を支払ってもらうのは当然です。
一方、今回のケースのように昼休憩から遅れて戻ってくる場合は、その分業務時間が減ることになります。そのため、厳密にいえば給与から差し引かれてもおかしくはないでしょう。しかし、昼休憩を13時まできっちり取るのも労働者の権利です。それに、2~3分程度の遅れなら許容範囲内と考えることはできます。
実際には会社がどう判断するかがポイント
昼休憩にともなう移動時間は、通常は休憩時間とみなされます。他の人は業務開始までに戻っているのに毎回遅れる人がいるなら、それはその人だけの問題です。2~3分ほどの遅れなら、業務にそれほど支障が出ない程度と考えられるでしょう。
遅れた分を給与から差し引くかどうかは会社が判断することになります。毎回だと気になるでしょうが、迷惑がかからない限りは放っておくほうが無難です。
出典
厚生労働省 労働時間・休憩・休日関係
厚生労働省 事務所と現場の移動時間を見直してみませんか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー