危ない!自転車を乗りながらの犬の散歩、これって法律的に問題ないの?
配信日: 2018.08.26 更新日: 2019.01.10
長いリードが巻き込まれそうになっていたり、片手でふらふらと運転していたりする様子は、はたから見ても危なっかしいものです。
今回は、自転車に乗りながら犬の散歩をして、トラブルを起こしたHさんの例をみてみましょう。
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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弁護士/東京桜橋法律事務所
第二東京弁護士会所属。
中央大学法学部卒。弁護士登録後、東京桜橋法律事務所に勤務。平成25年以降は同所パートナー弁護士に昇格し、主にIT関連、エンタメ関連の企業法務を中心として、相続・不動産・債権回収・破産など幅広い法律事務に対応している。
座右の銘は「強くなければ生きられない。優しくなれなければ生きていく資格はない。」時には、クライアント自身の姿勢を問うようなアドバイスができるよう心掛けている。
目次
自転車に乗りながら犬の散歩をしたHさん。バランスを崩し、歩行者を巻き込んでしまった…!
会社員のHさんは30歳。東京の郊外で奥さんと子ども一人、大型犬と共に暮らしています。毎朝、出勤前に犬の散歩をするのが日課です。
ある朝のこと。Hさんは前日に飲み会があって疲れていたため、自転車に乗りながら犬の散歩をすることに決めました。
左手にリードを持ち、右手で自転車のハンドルを持ち、ゆっくりと自転車を走らせます。そのまま道を進んでいると、向かいから犬の散歩をしている人が現れました。その瞬間、Hさんの犬が反応し、前方にダッシュしました。
Hさんは急にリードを引っ張られたためバランスを崩し、自転車ごと転倒。その際に、近くにいた歩行者を巻き込み、軽傷を負わせてしまいました。
Hさんは歩行者と話し合い、警察を呼び、事故証明をとってもらうことに。
すると、Hさんは警官から、「ただの接触事故ではなく、自転車による犬の散歩は法律違反の可能性がある」と指摘されました。
Hさんは思わぬ言葉にびっくりしています。
*物語はフィクションです
自転車による犬の散歩は法律違反になるのでしょうか。東京桜橋法律事務所の池田理明弁護士にお伺いしました。
自転車による犬の散歩は、道路交通法70条(安全運転の義務)に違反している可能性があります。道路交通法70条は以下のように規定しています。
“車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。”
まず、この「車両等」には自転車も含まれます。また、犬を繋いだリードを手に持ちながら自転車を運転することは、自転車のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作する義務に違反する行為ですので、Hさんの運転行為はこの規定に違反すると考えられます。
この規定に違反した場合には罰則規定があり、3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金、もしくは15万円以下の罰金に処するとされています(道路交通法119条1項9号)。
警察官が言うように、Hさんのケースはただの接触事故ではなく、道路交通法上の義務にも違反した上での事故になる可能性があると考えられます。
このような違反行為が反復される場合は、道路交通法により自転車運転講習を受講するように命じられる場合もありますので、安易に考えることはできません。
安全運転の義務に違反する運転は、自転車の場合でも厳しく取り締まろうという流れがあります。自転車を運転する場合でも、歩行者にとっては自転車が凶器になることがあるという認識を十分にもって、安全運転を心掛けたいものですね。
自転車による犬の散歩は法律違反になる可能性がある
自転車による犬の散歩は、法律に抵触する可能性があることがわかりました。
何かをしながらだったり、片手での自転車の運転は大変危険です。Hさんのように関係のない人まで巻き込んでしまうこともあります。
ペットを飼うなら、近隣の人に迷惑をかけないようにルールとマナーをしっかり守りましょう。
Text:ファイナンシャル フィールド編集部
監修:池田 理明 (いけだ みちあき)弁護士
東京桜橋法律事務所、第二東京弁護士会所属 http://tksb.jp/
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