「生活保護」受給世帯です。大学進学のために「奨学金」は利用できますか?
配信日: 2023.09.19 更新日: 2023.09.20
そのように願って、子どもの大学進学を希望する、生活保護受給中のご家族もいらっしゃるでしょう。しかし、生活保護を受給しながら、奨学金を受け取ることは可能なのか? 受け取れたとしても、返還できないのではないか? などと、さまざまな不安を抱きます。
そこで、生活保護を受給している世帯の子どもが大学進学する方法と、奨学金の返還が苦しくなった際に利用できる制度について、ご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生活保護受給世帯の子どもが大学へ進学する方法
生活保護受給中の家庭の子どもは、そのままでは、大学進学はかないません。大学へ進学するには、所定の手続きを行って、「世帯分離」(生活保護受給の対象から外すこと)をする必要があります。
厚生労働省の『「生活保護世帯出身の大学生等の生活実態の調査・研究」の結果(概要)』によると、生活保護受給世帯出身で、大学などに進学した方(2025人)のうち、約87%が、奨学金を利用していることが分かっています。また奨学金のほか、大学進学時には、下記の制度も利用できる可能性があります。
●大学など独自の授業料などの減免
●国の教育ローン(日本政策金融公庫):学生一人に最大450万円融資
●生活福祉資金貸付制度(教育支援資金とも、都道府県社会福祉協議会):最大月6万5000円を無利子貸し付け
●母子父子寡婦福祉資金貸付金(都道府県・政令市・中核市)
こうした各種制度や、学生自身のアルバイト収入を組み合わせて、進学する方法が一般的です。まずは、自身が利用できる制度についてや、利用した場合に、世帯分離後も費用を捻出できるのかを、それぞれ慎重に検討する必要があります。
返還が苦しくなってしまった場合の救済措置はある?
昨今では「奨学金破産」ということばも聞かれるようになり、返還に対する不安を抱く方もいらっしゃいます。もちろん、奨学金を利用すれば、給付型でない限りは、コツコツと返還する義務が生じます。
万が一、返還を難しく感じた場合は「減額返還制度」を利用して、毎月の返還額を減らしたり、「返還期限猶予制度」を利用して、返還を一時的に止めたりすることが可能です。また、返還を延滞してしまった方の場合は、「延滞据置猶予」も申請できます。
生活が苦しくなった場合は、上記のような制度を利用して負担を減らし、経済的に立て直したあとに、通常通りに返還を再開しましょう。
生活保護受給世帯で大学進学するなら世帯分離をしてから
生活保護を受給している世帯で、子どもを大学進学させようとする場合は、世帯分離をすることが前提となります。必要な手続きや申請から、ハードルが高いと思うかもしれませんが、この手続きを踏んで進学する方も少なくありません。学校と相談しながら、進学を諦めずにすむ方法を見つけましょう。
出典
文部科学省 経済的に困難な学生・生徒が活用可能な支援策
文部科学省 経済的に困難な学生・生徒が活用可能な支援策(令和5年1月~)
厚生労働省 「生活保護世帯出身の大学生等の生活実態の調査・研究」の結果(概要)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー