海外ロングステイの住まい。賃貸住宅を借りるときに注意したいこと
配信日: 2017.05.02 更新日: 2020.05.25
例えば東南アジアのタイに住居を借りる場合、コンドミニアムはプールやフィットネスジム等の共有設備があり、各々の部屋は区分所有となります。サービスアパートメントはホテルと同じような清掃やクリーニング設備、食事の提供、理髪等のサービスがついているところがあり、コンドミニアムより高い料金になるところもあります。
海外でのロングステイの目的は、趣味や娯楽を楽しみながら生活することですから、当然住む場所も趣味や娯楽、そして買い物等に便利なエリアに住居を探します。1か月以上住むのであれば、オーナーや不動産屋との賃貸契約書を締結することになりますが、自分一人で契約できる物件を探すことがポイントになります。
今回は海外ロングステイで住居を契約するときに注意したいポイントをご紹介します。
執筆者:束野浩(つかの ひろし)
ロングステイ財団登録アドバイザー
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者
鹿児島県出身。電機メーカに入社後、銀行の情報システム営業を経て、平成25年FPとして独立。転勤族かつ趣味の旅行が高じて、渡航歴40数回。日本全国に宿泊した経験を活かし、ロングステイに関する個別相談やセミナー講師を務めている。日本FP協会福岡支部の幹事やマンション管理組合理事長、九州ロングステイ同好会の幹事の経験を活かしつつ、年金支給開始年齢65歳時代となるまでに、定年前からどのような準備をすれば良いのか等、健康年齢までにやっておきたい事、定年後の生活レベル向上へのアドバイスなどを中心に活動中。
情報収集はどのようにすればいいか?
海外で長期間のロングステイする場合、ホテルよりコンドミニアムやサービスアパートメントを直接借りた方が安くなる場合が多ですが、滞在する国ごとに賃貸契約の内容は大きく異なります。
日本人が不動産(例えば土地)を購入できない国(タイは本人名義不可)もあれば、マレーシアのように一定金額以上の不動産物件なら購入できる国もあります。
また賃貸住宅については年間契約すれば安くなりますが、数か月だととても割高になる事もあります。
長期滞在の物件を捜す際に一番大切なのは『土地勘』の有無です。日本では考えられませんが一言でいえば「安全を買う」事を意識する必要があります。現地で生活した経験者の話や、現地からの現地滞在報告を参考にできれば一番いいのですが、そういった知人がいる人は多くないでしょう(もしも知人に経験者がいたら、その方から直接情報収集するのが一番早道です)。
海外に支店や営業所がある不動産会社では、どの地域なら安全で便利等、地域の特性を理解していますが、一般のロングステイヤーにとっては、それを見つけるのも至難の業だと思います。
情報収集の具体的方法
それでは具体的にどうすればよいか、その方法をこれまでの私の経験からまとめます。
①インターネットで調べる
昔と違いインターネット等を使えばある程度の情報収集は可能となってきました。例えばマレーシアの賃貸物件は日本語版の不動産情報があり、物件の検索もできます。しかし、さらに深い内容となるとどうしても限界があります。最低限の対策として、グーグルアースで近くに何があるかなど、周りの建物の状況を事前に調べておきましょう。
➁ロングステイアドバイザーに相談する
有料となってしまいますが、海外のロングステイに詳しい「一般財団法人ロングステイ財団」のホームページから「ロングステイアドバイザー」を検索して相談すれば、短時間で的確な情報を入手することができます。日本国内のロングステイ同好会(例えば「NPO法人 南国暮らしの会」等)に一度参加してみるのもおすすめです。
一般財団法人ロングステイ財団
https://www.longstay.or.jp
NPO法人 南国暮らしの会
http://www.minaminokai.com
➂現地の下見旅行を実施する
現地の下見旅行は必ず実施してください。現地の日本人会や「一般財団法人ロングステイ財団」のホームページに掲載されている会社を訪問し、物件の紹介、情報収集をしてみてください。できるだけ短期間で多くの物件が見られように不動産会社に依頼することが重要です。現地の言語で記載された不動産広告や賃貸情報、新聞記事などは、後で契約する際の参考になります。
④PC翻訳システムで内容を理解する
契約書の内容は当然英語又は現地の言語で記載されていますので、語学が苦手な方は必ずPC翻訳システム等を利用して日本語に変換し、内容をしっかり理解してください。
賃貸契約の締結、お金を支払う前に、しっかり確認を!
一番多いのは日本人が日本人を騙すというトラブルです。同じ日本人だからと安易に信じてしまわないように注意することが必要です。悪質な業者と契約し、お金を一度払ってしまうと、キャンセルができなかったり、返金されないことがほとんどです。契約するときは、信頼できる会社、相手であることをしっかりと確認してから、サインするようにしてください。
トラブルの事例として多いものは、相場よりも高額な物件を押し付けられたり、住んでみて設備などが壊れていてクレームを入れても対応してくれない等です。相談が多いトラブル事例を以下にまとめておきます。
<相談の多いトラブル事例>
①日本人からの紹介で一年分の家賃を払ったが、物件自体が存在しておらず、家賃をだまし取られてしまった。
②賃貸契約を締結した後、いろいろ調べたら周りにはもっと安い物件があり、相場よりもかなり高額な物件だということがわかった。キャンセルしたいと申し出ても、契約後なのでキャンセルできないと言われた。
③年度途中で日本に帰国したいので、3か月前に解約申し入れしたが、残り契約期間の家賃も払えと言われた。
④夜中に近くのカラオケ屋の音量が大きく、安心して眠れる環境ではない事が分かったが、キャンセルできないと言われた。
⑤天井からの水漏れがあったり、下水の流れが悪く、排水溝から悪臭がする等、生活できないくらい酷い環境の部屋を借りてしまい後悔した。
⑥便利な場所を選んだが、土日は交通渋滞がひどいので、車での外出が難しく、行きたいところに行けなかった。
⑦入居時に玄関の鍵を新規の鍵を交換する費用をケチっため、泥棒に入られた。
上記の事例を参考に、契約書にサインをする前、お金を支払う前に思い当たるところがないか、慎重に確認してください。くれぐれも、物件を見学しないで決めるといったことは避けるようにしてください。
楽しみにしていたロングステイを台無しにしないために、ロングステイの住まい選びは慎重に行いたいものです。