更新日: 2019.01.10 その他暮らし
東京では4人に1人がマンション暮らし。マンションに住むなら知っておきたい防災対策とは
全国平均での単純計算でも8人に1人がマンションに居住している計算となります。この数値は大都市においてさらに顕著となっており、都道府県別順位では、第1位の東京都で27.20%、第2位神奈川県で22.68%、第3位大阪府で19.12%です。東京都においては、実に4人に1人がマンションに住んでいることとなります。
これほど多くの人々がマンションに居住する時代において、マンション特有の防災対策について考えてみたいと思います。
Text:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
マンションの基本は自宅避難
耐震基準をクリアしているマンションの強みは堅牢な建物であるということです。
災害が発生した場合に「避難場所」と「避難所」という2つの用語が使われます。両者の違いは何でしょうか?「避難場所」とは、災害が発生した時に迅速に逃げる場所のことを指します。一時避難場所、広域避難場所など大きな公園、高台などがこれにあたります。一方「避難所」とは、災害の発生により居住する場所を確保することが困難な住民に、その場所を提供する施設です。小中学校や公共の体育館などがこれにあたります。
マンションに居住する場合、災害時には「自宅避難」が基本となります。避難所への受け入れなど、それぞれの地域で確認は必要ですが、一定の期間、自宅マンションでの生活が想定されることを考えておかなくてはなりません。
マンションによっては、独自の防災マニュアルを備えている場合や管理組合として防災備品を装備しているケースもありますので、ご自身が住むマンションの状況を確認しておきましょう。また、建物への浸水を未然に防ぐ防水板(防潮板)やかまどベンチ、マンホールトイレなど普段は使用しない備品も多くあります。
最低限の使用方法やいざという時の運用ルールの周知のため、定期的な防災訓練の実施が重要となるでしょう。
ただし、水や食料などの備蓄については各住戸に任せているケースも多く、行政などが発行している防災マニュアルなどを参考として、それぞれの状況に応じた日頃の準備が必要です。
マンションの弱み
堅牢な建物でマンションの最大の弱みは、その「高さ」といえるでしょう。災害によりエレベータ等が停止してしまうと、すべて階段を利用した移動が必要となります。もし、水や食料などの物資が支給された場合でも、それを持って階段を昇り降りすることになります。
また、災害時に困ることの第1位は、「トイレ」でしょう。マンションの場合は、排水管がマンションの躯体の内外を巡っているため、もし配管が破断しているとそこから汚水が溢れ出してしまいます。マンションに住む方には、大規模の災害時には確認が取れるまでは水を流すことを控えるよう周知が必要です。
変わってきた防災常識
「グラッと来たら火を消して、ガスの元栓を閉めましょう!」このような常識で育った方も多いと思います。
しかし、現在の常識は「まずは自分自身の身を守ることを考え、行動しましょう!」と変わってきています。地震の場合、揺れが継続する中で危険を冒してまで火に近づく行為を避け、まずは自分の身を守る姿勢をとること(自助)が重要です。
また、現在のガスについては、ほとんどの場合マイコンメーター(安全機能付き)が装備されており、震度5強以上の強い揺れを感知すると自動的に元栓が閉まる構造となっています。逆に、揺れが落ち着いた後に、マイコンメーターの機能による元栓の復帰方法を日頃から確認しておくことも忘れてはなりません。
さらに、停電となった後、しばらくして電気が復旧されたことで電気ストーブや観賞魚用のヒーターなどに可燃物が接触して火災が発生する「通電火災」にも注意が必要です。自宅からある程度の期間、避難や移動せざるを得ない状況の場合には、出掛ける時に電気のブレーカーは落としておくようにしましょう。
また、漏水等の発生を防ぐため、洗濯機等につながれた蛇口なども閉めておくことが重要です。
まとめ
マンションとは、いわゆる「共同住宅」です。さまざまな家族構成や年齢層の方々が同じ建物の中に共同で居住しているという特色があります。マンション内の居住者間のコミュニケーションをどのように図っているか、この点が大規模災害という万が一の局面でさまざまな影響を及ぼすことになるでしょう。
しかし、現代はご近所さんとの過度なつきあいを避ける傾向にあることも否めません。ぜひこの機会に、各ご家庭で最低限やっておくべき災害対策について考えてみてはいかがでしょうか?
出典
東京カンテイ
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー