更新日: 2023.10.20 その他暮らし
家族の病気で急な出費が…。「給料の前借り」って可能でしょうか?
充分な貯蓄がなく、医療費が払えないときに検討するべき選択肢が「給料の前借り」です。給料の前借りができるか否かは、職場の規則次第となります。
しかし、労働基準法上は労働者の権利として、既往(きおう)の労働分の給料を請求できる点は知っておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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20代男女の約3割が給料の前借りを検討
株式会社SheepDogは、20代の男女を対象に「給料の前借りをしたいと思ったことはありますか?」というアンケート調査を行いました。
「前借りしたいと思ったことがある(実際にはしたことがない)」と回答した方は27%、「前借りをしたことがある」と回答した方は5.67%でした。20代男女の約3割が、給料の前借りを検討・実行していることがわかります。
また、「給料の前借りをしたことがある」と回答した方のうち、正社員は4.12%、契約社員・派遣社員は18.18%でした。非正規雇用の人は、正社員の人よりも収入の安定性に欠けることから、前借りを考える人が多いと考えられるでしょう。
給料の前借りができるかは勤務先次第
そもそも、給料の前借りができるかどうかは、勤務先の規則によって異なります。勤務先が前借りを認めていない場合は、残念ながらできないでしょう。
規則による定めがない場合でも、緊急の事情がある場合は、柔軟に対応してくれる企業もあります。また、前借りできる金額に上限や回数をもうけている企業もあるため、対応は企業によってさまざまです。
「家族の病気」などやむをえない理由がある場合は別ですが、頻繁(ひんぱん)に前借りをしすぎると「経済的な管理能力が欠如している」とみなされ、信用を失う原因となる点には注意しましょう。
また、職場内で給料を前借りしていることを知られると「お金にだらしない人」というレッテルを、はられるかもしれません。前借りをする場合でも、できるだけ回数と金額をおさえることを意識しましょう。
労働基準法にもとづいて既往の労働分の賃金は請求できる
労働基準法第25条に「使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない」とあります。
既往の労働に対する賃金に関して、支払い時期の定めはありません。ただし「非常時払」という性質上、遅滞なく支払わなければならないとされています。
また、法令上に明記されている「出産、疾病、災害等」は、労働者本人だけでなく労働者によって生計を維持する者も含まれます。つまり、家族の病気で急な出費が必要になったときは「既往の労働分」の賃金は法令上、請求をすることが可能です。
まとめ
やむをえない事情で、いきなりお金が必要になったときは給料の前借りができるか相談してみましょう。
家族の病気やけがなど、やむをえない事情がある場合は、柔軟に対応してくれる可能性があります。労働基準法のルールでも、やむをえない事情があるときは「既往の労働」分の給料は請求できるとされています。
このようなルールを知っているだけで、万が一の事態がおきて急にお金が必要になっても、冷静に対応できるでしょう。
出典
株式会社SheepDog 20代会社員男性の31%が給料前借りをしたいと思ったことがあり、8%が実際にしたと回答。女性の約1.5倍【給料前借りのアンケート】
e-gov 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
厚生労働省 兵庫労働局 賃金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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