10月から「中古車」の表示価格が改正!「不適切な表示価格」はどう変わる? これまでとの違いを解説
配信日: 2023.10.24
本記事では、中古車販売価格の表示変更の裏にある事情と、どのように価格表示が変わったのか解説します。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
中古車価格の表示が変わった背景
中古車の販売価格表示が変更された背景には、中古車を販売する事業者と、実際に購入する消費者との間で、トラブルが相次いでいたことがあります。具体的なトラブルとしては、以下のようなケースです。
・商談時にオプションサービスが強制付加されて店頭表示価格で買えない
・自動車税や自賠責保険料等が別途請求されて店頭表示価格で買えない
こうした店頭表示価格をわざと安く見せたうえで、車両価格以外に発生する費用を後から追加する販売方法を是正する目的で、10月から表示価格が改正されました。では、表示価格は具体的にはどのように変わるのでしょうか。
中古車価格の表示はどうなる
自動車公正取引協議会の規約改正により、10月から中古車の販売価格は、「車両価格」と「諸費用」を合計した「支払総額」に変更となりました。
・車両価格:車両や装備費用など中古車を引き渡す場合の税込み価格
・諸費用:保険料や税金、中古車の登録に伴う諸費用
「支払総額」とは、「車両価格」に最低限の「諸費用」を加えた価格です。また、これまでは諸費用とされていた図表1の費用を、今回の改正で車両価格に含めることになりました。
【図表1】
費用概要 | 費用項目 |
---|---|
中古車を販売するにあたり当然行うべき納車前の車内清掃や洗車、クリーニング作業にかかる費用 | ・納車準備費用 ・通常仕上費用等 |
最低限必要な点検や、販売店が必ず実施する納車前の点検やオイル、バッテリー交換費用 | ・納車点検費用 ・納車整備費用等 |
その他の費用 | ・土日祝納車費用 ・販売手数料 ・オークション陸送費 ・広告掲載料等 |
出典:一般社団法人 自動車公正取引協議会「自動車公正競争規約・同施行規則の改正」より作成
また、定期点検整備の有無によっても支払総額も変わるため、「定期点検整備付き」もしくは「定期点検整備なし」と表示するようになりました。
今回の表示変更に関する規約に違反した場合、「厳重警告」「社名公表」「違約金」のいずれかが課されます。消費者も実際に中古車を見る場合は、表示方法が変更されているのか、自分で確かめる必要があるでしょう。
新しくなった中古車の表示価格を把握しておきましょう
中古車の表示価格に関する改定について解説しました。10月の改正によって、車両価格に含むべき費用が明確になり、消費者とトラブルが発生しやすい「諸費用」を含んだ販売価格の表示方法になりました。
販売価格が明確化されたことで、車を購入したい人にとっては不適切な表示価格に惑わされず、安心して購入することができるでしょう。
ただ、中古車の購入にあたっては、事前に車両価格や諸費用の内訳をしっかりと確認したうえで、慎重に検討してください。
出典
一般社団法人 自動車公正取引協議会 自動車公正競争規約・同施行規則の改正
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー