更新日: 2023.12.08 その他暮らし
祖父が肺がんになり、実家から治療費を送るよう頼まれました。がんになったときの治療費を教えてください。
生命保険などでもがんに対応した保険がありますが、すべての費用を賄えるわけではありません。実際、肺がんになった場合、治療費はどの程度必要になるのでしょうか。本記事では、がんになったときのおよその治療費を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
肺がんの治療費は高額療養費制度を利用して抑えられる
肺がんには「小細胞がん」と「非小細胞がん」の2種類があります。発生する位置は肺の入り口にある太い気管支「肺門部」、あるいは肺の気管支の末梢(まっしょう)から奥にかけての部分「肺野部」がほとんどです。
肺門部にある肺がんはエックス線で見つけにくいため、気管支鏡などで検査しなければなりません。一方、肺野部にできる腫瘍は、エックス線で発見しやすいです。
・肺がんの治療にかかる医療費の目安
肺がんの治療はどの程度進行しているか、手術が必要かなどによって異なります。薬物療法も進行度によって異なるため、こちらではあくまでも目安について説明します。
具体的には、外科手術で約158万円、放射線治療として予防的に行うもので約54万円、入院して行う場合で約86万円です。薬物療法は方法によって約5~75万円かかります。実際には、肺がんが対象となっている生命保険に加入していれば、保険を利用できるでしょう。
また、健康保険があれば自己負担しなければならないのは1~3割です。保険適用にならないものは先進医療を受けた際の医療費、入院時の食費や差額ベッド代、通院にかかる交通費などが挙げられます。
日本対がん協会の「がんによる生涯医療費の推計と社会的経済的負担に関する研究」によると、5年間でかかる肺がんの平均治療費は約374万円でした。1年当たり74万8000円(1ヶ月当たり6万2333円)であることがわかります。
・高額療養費制度を利用すれば負担額を軽減できる
1ヶ月間にかかる医療費(窓口で支払う分)の自己負担額が一定額以上になった場合、自己負担額を軽減するために利用できる制度が「高額療養費制度」です。ただ、自己負担額は収入や年齢によって異なります。
例えば、70歳以上で住民税非課税世帯の場合、個人の自己負担額の上限は8000円、世帯全体で1万5000~2万4600円です。前述した1ヶ月当たりの肺がんにかかる治療費を考慮すると、70歳以上の住民税非課税世帯であれば、高額療養費制度を利用して治療費の多くをカバーできると考えられます。
肺がんの治療費は年間約75万円
肺がんは進行度や治療方法によって治療費が異なりますが、5年間で約400万円かかります。1年当たり約74万円かかる計算ですが、高額療養費制度や生命保険などを利用した場合、自己負担額を抑えることが可能です。
ただ、症状が進行しているケース、保険が適用されない先進医療を受けるケースもあることから、費用に余裕をもっておくほうがよいでしょう。
出典
厚生労働省 平成31年(令和元年)全国がん登録 罹患数・率 報告 P17
公益財団法人 日本対がん協会 肺がんの基礎知識
日本対がん協会 がんによる生涯医療費の推計と社会的経済的負担に関する研究 P2
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー