断水で水洗トイレが使えない! そんなときの対処法とは
配信日: 2018.10.14 更新日: 2019.01.10
災害時に最も困ることとして真っ先にあげられるのはトイレの問題です。万が一のときに困ることのないよう、断水の際の3つの対処方法を確認しておきましょう。
Text:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
(1)水が出る場所のトイレに行く
断水が発生している地域がそれほど広範囲ではなく、一定の地域のみの場合には有効な方法となります。
道路の水道管(本管)は、複数の系統に分かれている場合もあり、極端な事例では、自宅が断水の場合でも道路をはさんだ向かい側の住宅では、全く支障なく水が使えるケースもあります。
また、マンションにお住まいの場合やビル内で勤務中などの場合、建物の給水方式によって水が供給されない(断水状態となる)ケースがあります。
建物の給水方式は、大まかに分けると「貯水槽方式」と「直結方式」の2種類があります。貯水槽方式の場合には、建物の敷地内にある貯水槽(タンク)にいったん水をため、電動のポンプを使って各部屋に給水する方式です。
つまり、災害により停電となると給水用のポンプが使えなくなるため、貯水槽にある水を各部屋に供給できなくなり、断水状態になります。このケースでは、停電が復旧された時点で断水も解消しますし、場合によっては貯水槽内の水を運べば使用することも可能です。
一方の直結方式の場合は、道路の地下にある水道管本管から水道管内の圧力を利用して、直結で部屋に水を供給しますので、一定の階数までは停電の場合でも水が供給されます。
(2)バケツなどで水を流す
用意した水をバケツなどでくんで、便器に水を入れて汚物を流す方法です。しかし、大規模な災害であるほど水を流す前に確認が必要です。
下水道の排水管や設備が被災した場合、水を流すことによって破損部分や道路のマンホールから汚水があふれ出してしまうことがあります。また、排水管のつまりや漏水などが発生した場合には、その原因箇所がマンションの共用部分にあたる排水管等の場合には、管理組合が付保している火災保険や地震保険等で修理することとなります。
しかし、復旧までに余計な時間を要することが想定されるため、マンション全体に影響を及ぼすことになります。
水を流してよいかの判断は、正直非常に難しいと思います。ただし、マンションなどにお住まいの場合は、居住者間のルールとして、「基本的には災害直後に水は流さない」などの取り決めをしておくことが重要と思われます。
(3)携帯トイレを使う
災害への日頃からの備えとして、最もおすすめなのがこの方法です。
携帯トイレとは、いつも使っているトイレに設置するビニール袋と凝固剤がセットになっているものです。もちろん、水を使わずに利用するもので、1回の使用あたり50円~100円程度と安価であるため、100円ショップなどでも何種類か売っています。インターネットなどで、家族全員で数日間の利用を考慮した、ある程度の数量を購入し、備蓄しておくことをおすすめします。
マンションによっては、管理組合の防災備品として携帯トイレを一定数備蓄している場合もありますので、ご自身で確認しておいたほうがいいでしょう。
携帯トイレの備えがない場合、身近にある安価な代用品として、45リットル程度のゴミ袋が利用できます。凝固剤の代用品としては、十分とはいえませんが、おむつ、ペットシート、切りきざんだ新聞紙、猫のトイレ砂などを利用することができます。
まとめ
大規模な地震などの災害時にはだれもがパニックを起こし、冷静な判断ができにくくなることが想定されます。
携帯トイレなどの防災備品も意外と近くに備蓄されているのに気づいていないケースも多いと思われます。どんなに多くの防災備品が備えられていたとしても、いざというときに使えなければ、無用の長物です。
また、災害へのもう一つの備えとしては、火災保険等の付保があります。一般的な火災保険の補償の適用範囲は意外に広く、火災のみならず、落雷、風災、雪災、爆発なども含まれます。さらに、水災や電気的・機械的事故などをオプションで付保できる場合もあります。注意が必要なのは、地震による火災、損壊、流失などの損害は、火災保険では補償されず、地震保険の補償対象となる点です。
平常時にこそ、万が一に備え、ご自身の回りの正確な状況を把握しておくことが大切です。そして、防災備品などを事前に備え、ご家庭ごとの災害対策をすすめておきましょう。
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー