「年収1000万円」のリアルとは? 悠々自適な生活で、子どもが「私立小学校」に余裕で通えるレベル!? 手取りや学費について解説
配信日: 2024.02.01
年収1000万円になると2022年の平均年収である458万円の2倍以上なので、悠々自適な生活を想像してしまいがちです。子どもがいる人であれば私立小学校一択でしょうか。
しかし、実際に計算してみると意外と余裕はなさそうです。本記事で解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
年収1000万円超は5%
まず年収1000万円を稼いでいる人がどのくらいいるのかを知っておきましょう。国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、年収1000万円超は全体の5.4%となっています。ほんの一握りですね。
ちなみに、1000万円超1500万円以下に限定すると4.0%、1500万円を超えている人は全体のわずか1.4%です。
年収1000万円の手取りは740万円程度
年収に対する手取りの割合は70%から80%と言われています。同じ年収1000万円であっても、手取りの割合は扶養家族の有無などによって多少変わるので、700万円から780万円程度を目安と考えましょう。
本記事では、間をとって740万円で計算を進めていきます。月々の手取りは約62万円となります。
生活費の平均は約32万円
家計調査によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯における消費支出は2022年の平均で約32万円となっています。約62万円もの収入があるので、30万円ほど残る計算になります。一般家庭からするとうらやましい限りですね。
ただ、年収が高いとその分使ってしまう可能性もあります。約32万円はあくまでも平均なので、年収1000万円世帯であれば収入に合わせてもっと使っているかもしれません。
私立小学校の学費は年間約167万円
文部科学省の調査によると、私立小学校にかかる1年間の学習費総額は平均約167万円で、月当たりに換算すると約14万円です。この金額を仮に生活費の平均約32万円に上乗せするとなると、かなりの負担なのではないでしょうか。
まったくもって余裕で通わせられる状況ではありませんね。手取りが740万円だと167万円は約23%に当たり、住宅ローンが2つあるようなものだともいえるでしょう。子ども1人でこの計算になるので、2人となると困窮するのではないでしょうか。
年収1000万円は児童手当も制限されている
2024年1月現在、中学校卒業までの子どもを育てる家庭には児童手当が支給されていますが、年収1000万円の人には所得制限が絡んできます。
本来、月1万円(3歳未満は1万5000円)の児童手当が受けられるはずが、年収1000万円で子ども1人の場合には5000円に減額され、年収1124万円超を目安に支給されなくなります。2024年12月支給分よりこの所得制限は撤廃されますが、年収が高いことで公的な補助を受けられていない家庭もあるのです。
まとめ
年収1000万円の手取りは740万円ほどなので、年間約167万円かかる私立小学校に通わせるのは厳しいかもしれません。決して「余裕」ではないでしょう。
児童手当の制限もあり、年収1000万円は夢のような生活というわけではなさそうです。
出典
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査
総務省統計局 家計調査報告 ―月・四半期・年―
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果について
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士