のろのろ運転にイラつき、追い越しでやや加速してしまいましたが、「スピード違反」にはならないですよね？

車を運転する人のなかには、無意識に制限速度をオーバーして運転した経験がある人もいるのではないでしょうか。
 
また、前を走る車のスピードが異常に遅く、イライラして追い越してしまった経験がある人もいるでしょう。このときにスピードオーバーしていれば違反になるのでしょうか。
 
本記事では、道路交通法に定められたスピード違反の定義に基づき、追い越し時のスピードオーバーが違反かどうかを解説します。車を運転する人は参考にしてください。

スピード違反とは

スピード違反は道路交通法により定められた速度を守らないことをいいます。一般的にスピード違反といえば、最高速度を超過する最高速度違反のことを指します。
 
しかし、道路交通法では最高速度以外にも守るべき速度を規定しているので、スピード違反は最高速度違反だけとは限りません。まずは、道路交通法で規定されている速度について解説しましょう。
 

法律で定められた速度に関する定義

道路交通法（以下道交法）の第二節では以下の速度違反に関する規定があります。

・最高速度（第22条）……車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

・最低速度（第23条）……自動車は、道路標識等によりその最低速度が指定されている道路（第七十五条の四に規定する高速自動車国道の本線車道を除く。）においては、法令の規定により速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その最低速度に達しない速度で進行してはならない。

※出典：e－GOV　法令検索　道路交通法「第二十二条（最高速度）　第二十三条（最低速度）」

道交法で規定されている速度は上記のとおりですが、一般的には規定されている速度のことを制限速度、法定速度、指定速度と呼ぶこともあります。
 

スピード違反は定められた速度に従わないこと

道交法の22条及び23条に規定されている速度を守らなかった場合、一般的にスピード違反と呼びます。主に最高速度を超えて進行するケースをスピード違反といいますが、最低速度を守らずに進行する場合もスピード違反になります。
 
たとえば、高速道路で極端に遅いスピードで進行することは、事故を誘発する可能性があり、危険な行為になります。そのため、道路交通法施行令（以下施行令）では最低速度を50km/hとし、これに達しない場合はスピード違反となるのです。
 

追い越しでのスピード超過も違反になる

最高速度違反に関しては道交法や施行令で例外はないため、最高速度を超えた場合は原則としてどのような場合でもスピード違反となります。最低速度違反については「法令の規定により速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き」と道交法で規定されているため例外はあります。
 
しかし、最高速度違反では追い越しだからといってスピード超過が認められるわけではないので、スピード違反となることは間違いありません。普通車でスピード違反をした場合は、表1の反則金と罰金が科せられるので注意しましょう。
 
【表1】

速度超過（普通車）	反則金または罰金
15km/h未満	反則金　9000円
15～20km/h未満	反則金　1万2000円
20～25km/h未満	反則金　1万5000円
25～30km/h未満	反則金　1万8000円
最低速度違反	◆車種によって一律 （反則金のみ）   大型車……7000円 普通車……6000円 二輪車……6000円 小型特殊車……5000円

※警視庁「反則行為の種別及び反則金一覧表」を基に筆者作成
 

たとえ追い越しのための速度超過もスピード違反になるので注意しよう

追い越しが禁止されている車線でない限り、前の車を追い越すこと自体は違反とはなりません。
 
しかし、それはスピード違反をしてもいい理由にはなりません。追い越しをするときは安全を考慮しながら、一気に加速せず制限速度を超えない範囲で行いましょう。また、最高速度違反の場合は30km/h以上の超過で刑事罰が適用となり、懲役や罰金が科されるので十分注意しましょう。
 

出典

e-Gov法令検索　道路交通法
e-Gov法令検索　道路交通法施行令
警視庁　反則行為の種別及び反則金一覧表
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー