更新日: 2024.02.13 子育て

【高校無償化】都内在住なら、世帯年収「910万円」以上でも無償化に!? 2024年度からの「所得制限撤廃」について解説

【高校無償化】都内在住なら、世帯年収「910万円」以上でも無償化に!? 2024年度からの「所得制限撤廃」について解説
東京都は先日、高校無償化制度の所得制限を撤廃する方針を発表しました。本記事では、そもそも高校無償化制度や所得制限とは何なのか、高校無償化により総額いくらの支援が受けられるのかなどを解説します。
沢渡こーじ

執筆者:沢渡こーじ(さわたり こーじ)

公認会計士

東京都の高校無償化制度とは

東京都では都立校と私立校に通う生徒に対して、「高等学校等就学支援金事業」「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」など授業料を支援する制度を設けています。都内に在住していることが要件で、事前の申請が必要です。
 
年間で、全日制過程の都立校は約12万円、全日制・定時制課程の私立校で約48万円の支援を受けられ、期間は最大36ヶ月間です。これにより、授業料が実質的に無償化されます。
 
ただし、所得制限が設けられており、支援を受けられる世帯年収目安は約910万円未満となります。子どもの数などによっても変動しますので、目安年収の確認は、「住民税課税・非課税証明書」に記載の「区市町村民税課税標準額」を参照するようにしてください。
 
なお、必要な申請回数や申請可能な期間、必要書類は都立校と私立校の場合でそれぞれ違うため、個別に確認が必要となります。「都内在住」に関しては、私立校の令和5年助成金申請の場合、令和5年5月1日から申請時まで引き続き都内に居住していることが要件です。また、1年を超えて引き続き授業料の支援を受けたい場合は、毎年申請をする必要がありますので注意してください。
 

東京都は2024年度から所得制限撤廃へ

これまで世帯年収約910万円未満の世帯しか授業料の支援が受けられませんでしたが、東京都では2024年度より所得制限を撤廃し、世帯年収910万円以上の世帯でも授業料の支援が受けられるようにする方針を固めました。
 
この背景には、物価高騰などで年収910万円以上の世帯も経済的負担が増えていること、また東京では授業料が高い私立校が都立校よりも多いという特有の事情があることなどが挙げられます。
 
ただし、あくまで東京に在住している生徒のみが対象で、都外から都内の高校に通っている生徒は授業料支援の対象外です。
 

都立・私立、支援総額はそれぞれいくら?

高校授業料の支援額は、先ほども説明した通り、年間で都立校は約12万円、私立校で約48万円です。最大36ヶ月(3年)の支援のため、合計で都立校は約36万円、私立校は約144万円の費用が無償となります。
 
そこで本来かかるはずだった学費を、塾など学外の学習費用にまわしたいと考える家庭もあるかもしれません。
 
文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」によると、学習塾費の平均は、公立校の生徒で年間約12万円、私立校の生徒で年間約17万円となっています。
 

その他の支援制度

文部科学省の同調査によると、高校生の学習費総額は、公立校が年間約51万円、私立校が年間約105万円となっています。また、学年別では私立の第1学年が約128万円と、最も教育費が高くなっています。これは入学金が影響しているためと考えられます。
 
学習費総額に含まれる学校教育費のうち、最も費用負担の大きいのは、公立校だと通学関係費で約9万円、私立校だと授業費で約29万円となっています。なお、私立校でも2番目に大きいのは通学関係費で約12万円です。
 
無償化制度で支援されるのはあくまで授業費のみのため、教科書代や学用品費、交通費といったものは支援されないことを考慮する必要があります。こうした授業費以外の費用をサポートするため、一定の所得を下回る世帯を中心に、授業料以外の教育費を支援する「高校生等就学給付金」という制度もあります。
 
ここでいう授業料以外の教育費とは、教科書費、教材費、学用品費、PTA会費、修学旅行費、通信費などをいいます。
 

まとめ

高校の授業料を支援してもらうための所得制限910万円を撤廃することで、制度の利用者が増えることが予想されます。
 
幼稚園から高等学校までの15年間の学習費の総額は、全て公立校に通わせた場合で約574万円、全て私立校に通わせた場合だと約1838万円となっています。
 
このように、子どもの学習費はかなり大きな額になります。今回、東京都が進める高校の実質無償化のように、子育て世帯の負担が軽減される制度がより拡充され、将来を担う子どもたちが安心して勉学に打ち込める環境が整うことを願っています。
 

出典

東京都教育委員会 高等学校等就学支援金事業について
公益財団法人 東京都私学財団 私立高等学校等授業料軽減助成金事業
文部科学省 高校生等への修学支援
文部科学省 結果の概要-令和3年度子供の学習費調査
 
執筆者:沢渡こーじ
公認会計士

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