更新日: 2024.02.29 その他暮らし
「子どもがやったことだから」では済まされない! 本屋で1冊万引すると、店側の損失はどれくらい?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
本が流通する仕組みとは?
まずは出版流通の仕組みについて理解しておきましょう。出版社によって作られた本は、通常取次会社に卸されます。取次会社は本の卸問屋のようなもので、書店の多くは出版社と直接契約するのではなく、この取次会社と契約することで本を仕入れているのです(委託制度)。
そうして書店は本が売れた場合には取次会社に卸値を支払い、売れ残った場合には取次に返品します(再販制度)。このような委託制度と販売制度があるため、本はどの書店でも同じ価格で販売されているのです。また、仮に本が売れ残ってしまっても、本屋は損をしないようになっています。
ただし、委託制度と再販制度にはメリットだけでなくデメリットもあります。それは、卸値の高さです。先述したように、本は書店で売れ残ってしまった場合、取次会社を経由して出版社に返品されます。このことは、出版社にとってはあまりに不利な契約条件だといえるでしょう。そのこともあって、本は他業種と比較しても比較的高い卸値で出版社から取次に卸されます。
卸値の価格は出版社や取次会社によって異なりますが、多くの場合、定価のおよそ7割です。例えば、1000円の本が書店で売れた場合、そのうちの700円は出版社の利益になるということです。これに加え、取次会社がおよそ1割をマージンとして受け取ります。その結果、書店が受け取る利益はわずか2割になるというわけです。
1冊の本が万引された場合の損失はいくら?
本屋は本を委託販売している(返品できる)ため、1冊売っても取り分はわずか2割になっています。その本がもしも万引されてしまったら、どうなるでしょうか。返品をしない場合、本屋は取次や出版社にその本の料金を支払わなければなりません。
ところが、実際には売れたわけではないため、その料金は本屋が負担することになります。つまり、もしも本屋がその万引された分を売り上げで穴埋めするなら、本屋は同じ本を5冊売らなければならなくなるのです。
しかも本屋は、この2割の利益の中から店舗の家賃や従業員の人件費などを捻出しなければなりません。その結果、実際の利益は1割や1割以下になってしまうこともあります。その場合、本屋は万引された本の損失を補うため、同じ本を10冊売らなければならなくなるでしょう。
本が1冊万引された場合の本屋の負担は甚大!
多くの本屋は本を委託で販売しています。そのため、本屋が1冊の本を売ることで得られる利益は、本体価格のわずか2割程度でしかありません。その結果、本が1冊万引されると、本屋は同じ本を5冊売らなければ元が取れない、ということになってしまうのです。万引された場合に本屋が受ける被害は甚大です。それが本屋を閉店に追い込んでしまう場合もあることをよく覚えておきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー