更新日: 2019.01.11 その他暮らし
「電気ご使用量のお知らせ」をよく見ると書かれている【再生可能エネルギー発電促進賦課金】って何だ?
電気は水力発電、火力発電、原子力発電と発展してきましたが、今、太陽光や風力を利用した自然エネルギーへの期待が高まっています。
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト
期待が高まる再生可能エネルギー
日本は石油を中東諸国からの輸入に依存しており、エネルギー自給率はわずか8.3%です。
世界の主要国の中では、ノルウェー702.6%、オーストラリア304.3%、米国92.2%などに比較して極端に低い比率となっています。※1
このため、太陽光発電や風力発電など、二酸化炭素とは無縁の環境にやさしい再生可能エネルギーへの期待が高まっています。
環境にやさしく、枯渇の心配がない再生可能エネルギー
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど自然界に常に存在するエネルギーのことを指します。再生可能エネルギーを使った発電は環境にやさしく、また、枯渇する心配がありません。
ところで、どこの家でも毎月受け取る「電気ご使用量のお知らせ」。じっくり見たことのある人は少ないと思います。そこに電気料金のほかに「再生可能エネルギー発電促進賦課金」という項目で一定の金額が請求されていることを知っていますでしょうか?
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは、風力発電、地熱発電、水力発電などの再生可能エネルギー発電を普及・拡大させることを目的に、電力会社が再生可能エネルギーを買い取る際の費用のことです。実はこれを消費者が負担しています。
消費者は電力を買うだけでなく、自宅の屋根に太陽光パネルを設置して発電を行い、余った電力を発電会社に売ることができます。このような消費者は電気料金をかなり安く、場合によっては黒字にすることもできますが、大方の消費者は電気を消費するだけです。
現在、再生可能エネルギーを使ってつくられた電気は、2012年に創設された「固定価格買取制度(FIT制度)」の対象となっています。そのため、電力会社は、国が決めた価格でこれを買い取らなくてはならないのですが、その際の、買取費用の一部には、電気料金(再生可能エネルギー賦課金)があてられているので、電気料金を支払っている消費者が広く負担することになります。
FIT制度における買取費用の総額は、当初、2030年度に年間3.7~4兆円程度になると見込まれていましたが、2018年度の時点で、買取費用の総額はすでに年間3.1兆円程度に達しています。このまま再生可能エネルギーの導入が拡大していけば、消費者が負担する電力料金は想定よりも増大してしまう恐れがあります。※2
再生可能エネルギー発電は電気料金を安定させる
再生可能エネルギー発電が普及拡大して日本のエネルギー自給率が向上すると、化石燃料への依存が低くなり、燃料価格の乱高下にともなう電気料金の変動を抑えることが可能になると考えられています。
ですが、再生可能エネルギー発電促進賦課金は、例えば東京電力では2016年度が2.25円/kWh、2017度が2.64円/kWh、2018度は2.90/kWhと値上がりしてきており、今後も値上がりが予想されます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金を含む毎月の電力会社への支払い金額は次の式で計算されます。
・毎月の電力会社への支払い=基本料金+電気量料金+再生可能エネルギー賦課金(=毎月の電気使用量×再生エネ発電促進賦課金単価(東京電力では2.29円/kWh))
日本のエネルギー自給率が急速に改善されることは考えにくく、再生可能エネルギー発電も急速な普及が見込めない状況では、私たちの電気料金はこれからも年ごとに値上がりしていくことが予想されます。かといって、すぐに太陽光パネルを使った自家発電を行うにはかなりの設備投資が必要となります。
電気料金を見直す可能性は?
電気料金をめぐるこうした環境下で、少しでも電気料金を節約するために、電気料金比較サイトを活用してみてはいかがでしょうか。
ある調査会社の報告によると、適切な電気料金プランを選択することで、基本的な電気料金プランを使用した場合に比べて年間平均14%、一般家庭の平均的な電気料金に換算すると、おおよそ年間1万8000円も電気料金を節約することができるともいわれています。※4
こういったサービスも活用しながら、うまく自分の電気料金を抑えることができるとよいですね。
※1資源エネルギー庁 「日本のエネルギー2017」
※2資源エネルギー庁「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」
※3東京電力「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」
※4株式会社エプコ 2014年8月7日ニュースリリース
Text:丸山隆平(まるやま りゅうへい)
経済産業ジャーナリスト