子どもの将来を考えると理系のほうが安定して稼げるのでしょうか? 学費とあわせて考えるとどちらがよいですか?
配信日: 2024.03.29
本記事では、理系と文系ではどちらのほうが将来安定して稼げるのか、学費はどちらのほうが高いのかにスポットを当て、調査データなどをもとに解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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理系出身者のほうが所得が高い傾向が見られる
独立行政法人経済産業研究所が公開している「理系出身者と文系出身者の年収比較」の分析結果によると、大卒以上の就業者の仕事からの収入(年収)は、理系出身者と文系出身者でそれぞれ図表1のようになっています。
【図表1】
性別 | 文系出身者 | 理系出身者 |
---|---|---|
男性 | 559.02万円 | 600.99万円 |
女性 | 203.00万円 | 260.36万円 |
独立行政法人経済産業研究所「理系出身者と文系出身者の年収比較」より筆者作成
図表1の分析結果から、理系出身者のほうが文系出身者よりも高い年収を稼ぐ傾向があると言えるでしょう。また、本調査では、正規労働者の比率、役職者の比率、所得格差のいずれも理系出身者のほうが高いという結果が出ており、収入の安定性の面でも理系のほうが勝っていると言えそうです。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」の結果に示された職業別の平均年収を見ても、理系出身者が就業することが多い機械技術者・金属技術者・化学技術者・建築技術者・ソフトウェア作成者などの技術者の基本給は、軒並み平均30万円台後半から40万円超です。
一方で、事務従事者や販売店員など理系の技能や資格が必要ない職業では、20万円台後半~30万円台前半の職業が多く見られます。
もちろん、文系の大学に入ったあとに理転して理系の職種に就業する道もありますが、逆のパターンと比べると難易度は高くなります。はじめから理系の大学を選択したほうが、職業選択の幅は広がるでしょう。
理系と文系の大学の学費はどのくらい違う?
将来の収入が高くても、学費などのコストが高ければトータルでは損になるのでは? と考える人もいるでしょう。理系の大学を出るためには、文系の大学を出るのと比べて多くの費用がかかるのでしょうか。
本項では大学の学費に着目して、私立大学、国公立大学にそれぞれ進学した場合の平均的な費用を、理系・文系で比較してみましょう。
私立大学進学時の学費の比較
文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の初年度納付金(授業料、入学料、施設設備費)のおおよその平均額は、図表2のとおりです。
【図表2】
授業料 | 入学料 | 施設設備費 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
文系学部 | 約82万円 | 約22万円 | 約14万円 | 約119万円 |
理系学部 | 約116万円 | 約23万円 | 約13万円 | 約153万円 |
文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より筆者作成
初年度の時点で、理系学部が文系学部を約34万円上回っています。また、授業料に年間約34万円の差があることから、4年間合計では理系学部の学費が文系学部を約130万円以上上回る計算です。
国公立大学に進学すれば費用の差はない
国公立大学に進学した場合は、国が定めた国立大学の授業料等の標準額(※)に準じて学費が設定されているため、原則として文系、理系で負担額に差は生じません。将来の収入の安定と学費の負担をおさえることを両立させたいならば、理系の国公立大学が進学先の第一選択肢になるでしょう。
※授業料:53万5800円、入学料:28万2000円
将来安定して稼ぎたいなら理系のほうが有利な可能性がある
独立行政法人経済産業研究所の分析では、理系出身者は文系出身者と比べて、平均年収や正規雇用の比率、役職者の比率が高いというデータが示されています。卒業後にどのような職業に就くかなどにもよりますが、理系に進学したほうが、将来的な収入の安定を望みやすいと言ってよいでしょう。
ただし、私立大学に進学した場合は理系のほうが文系よりも学費が高い傾向があります。費用をおさえたいならば、国公立大学進学を目標に据えるのがおすすめです。
出典
独立行政法人経済産業研究所 RIETI – 理系出身者と文系出身者の平均年収の比較
独立行政法人経済産業研究所 理系出身者と文系出身者の年収比較-JHPS データに基づく分析結果-
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
e-Gov法令検索 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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