更新日: 2019.08.27 子育て
産休中に退職したら「出産手当金」はもらえなくなるの? 継続支給されるケースって?
さまざまな理由で産休中に退職した場合、もう給料はないわけですから退職後引き続き、出産手当金をもらえないようにも思えます。
産休中に退職したら出産手当金は打ち切りになるのでしょうか。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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出産に関する給付
出産に関する給付には。出産一時金と出産手当金があります。
出産とは、妊娠85日(4か月)以後の出産をいいます。早産、死産、流産、人工妊娠中絶(経済上の理由によるものを含む)を問いません。給付等を受けるには申請が必要です。各種申請を忘れずに行いましょう。
出産に必要な費用のための給付
出産に必要な費用のための給付に出産一時金があります。厚生労働省「医療保険部会配布資料」によると、出産費用の総額(入院料・室料差額・分娩料・検査・薬剤料・処置・その他)は約49万円となっています。
被保険者(被扶養者)が出産したときに、1児につき42万円(産科医療補償制度加入の産院等で出産した場合)が支給されます。
病院の窓口で、できるだけ現金を支払いなくて済むように産院等へ直接、出産一時金が支払われる「直接支払制度」「受取代理制度」が利用できる産院等を利用すると良いでしょう。
出産費用が42万円を超えた場合にのみ、不足分を窓口で支払うことになります。42万円未満で収まった場合には差額を保険者に請求することができます。
産科医療補償制度は、分娩、出産によって発生した重度脳性麻痺児に対しての補償制度です。加入している産院等で出産するのが良いでしょう。
産前産後休暇中の給料の補てん
出産のため会社を休み給料等をもらえないときに出産手当金の支給を受けることができます。加入している医療保険が国民健康保険の場合は、出産一時金と違って、出産手当金は支給されません。
支給期間は、出産の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間で、労務に服さなかった期間(会社を休んだ期間)です。
42日には出産日も含まれます。出産予定日より遅れて出産した場合の支給期間は、出産予定日前42日+出産予定日から遅れた出産日までの日数+産後56日になります。
産休中は社会保険料が免除になります。将来、年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。
出産手当金の支給額は、月給÷30日の3分の2です。この金額が産休を取った日数分もらえます。これを受ける期間に給料の一部を受けるとき、その金額が出産手当金の額より少ない場合は、その差額が出産手当金として支給されます。
なお、産後56日のうち最初の42日は本人が希望しても法律で働くことが禁止されています。その後の14日は医師の許可があれば働くことが可能です。産前は本人が希望すれば働くことができます。
退職後の継続受給
会社を産休中に退職することになった場合、次の2点を満たしている場合には退職後も引き続き、出産手当金の支給を受けることができます。
1.被保険者の資格を喪失した日の前日(退職日)までに継続して1年以上の被保険者期間(健康保険任意継続の被保険者期間を除く)があること。
2.資格喪失時に出産手当金を受けているか、または受ける条件を満たしていること。
なお、退職日に出勤したときは、継続給付を受ける条件を満たさないために資格喪失後(退職日の翌日)以降の出産手当金はお支払いできません。(出典:全国健康保険協会ホームページ)
ポイントは、退職日に出勤しないことです。
Text:新美 昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。