更新日: 2019.07.17 その他暮らし
マイホームが欲しいけど「持ち家か賃貸か」迷う前に考えておきたいこと
この二面性が話をややこしくしていますが、一戸建てにしろ、マンションにしろ、マイホームを買うときはこの両面を気にしながらどうしようと考えているはずです。
だから、持ち家の方がいいとか、賃貸の方がいいとか、そういう議論になってしまいがちです。
そこで、こんな問いを自分に投げかけてみます。
「マイホームは、何のために買う?」
「自分や家族が住むため」と思った人は、マイホームをどちらかというと「生活に必要な消費」ととらえている人で、「自分の資産が増えるから=自分の資産を増やすため」と思った人は、マイホームを「価値のある資産」と考えている人です。
今回は、マイホームを買うかどうか、その考え方についてお伝えします。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
マイホームの出口戦略
これから日本は少子高齢化ということで、人口が減っていくと言われています。
この過程で土地や建物が余り、空き家が増えることが問題視されています。
今、子育て世帯で、特にマイホームをこれから買う、すでにマイホームを買っているというご家庭の場合、まだ老後が遠い未来のため、「自分の家が空き家になったらどうするか」というところまで頭の中が追いついていないことが多いです。
リフォームや最近はやりのリノベーションなどのメンテナンスまでは想像しますが、マイホームの出口戦略、つまり「空き家対策」までは組み立てていないご家庭が一般的です。
空き家対策とは、「マイホームにだれも住まなくなった場合、わが家をどうするか」という、いわば処分方法などを事前に考えておくことを言います。
方法としては、「取り壊す」「売却する」「建て替える」「だれかに貸す」などがありますが、「子どもにのこす」という選択肢もあります。
この時点でのマイホームのとらえ方は、おおよそ「価値のある資産」です。
でも、マイホームを買うとき、つまり、マイホームの入り口では、マイホームを自分や家族が住むために必要な「生活のための消費」ととらえます。
そして、持ち家なのか、賃貸なのかの議論に終始しがちです。
持ち家派は、マイホームを生活のために買い、かつ、資産性があると考えています。賃貸派は、マイホームを生活のために借り、資産性は求めていません。
つまり、持ち家VS賃貸の議論は、本質的には、資産性を重視するかどうかの違いになっているだけです。
ここで問題が生じています。マイホーム神話です。
かつて、高度経済成長のもと人口は増え、所得も高まり、家は憧れの存在から手の届く身近な存在となりました。この過程で土地の値段はあがり、マイホームに資産性がみいだされるようになりました。
そしてバブル崩壊後、時代は反転し、今や高齢者の増加にともない空き家が問題視されています。
マイホームは「生活のための消費」であり、また「価値のある資産」でもあります。
しかし、時代が反転した今、土地余り、家余りの時代の到来で、不動産の価格が下落する恐れがあります。その点でいうと、今は賃貸の方が有利なのかもしれません。
マイホーム選びの軸とは
では、マイホームについてどのように考えればいいかというと、持ち家か、賃貸かではなく、「どこに住むか」で答えがおのずと決まってきます。
人口流入地域と人口流出地域の違いです。
マイホームには「生活のための消費」と「価値のある資産」という二面性があります。そうすると、人口流入地域でマイホームを買わなければ、この両面を満たすことはできません。
だから、子育て世帯では、子どものころに育った郊外部から、都市部に居を構えるご家庭が増えているのだと思います。最近では、このような現象を「逆ドーナツ化現象」と呼んでいるようです。
持ち家派VS賃貸派の不毛な議論ではなく、時代を見据えて「どこで、どのように暮らすか」を軸に、マイホームの購入を検討することが求められていると思います。
次回からは、「住宅ローン」を組むうえで、知っておきたいことについてお伝えしていきます。
Text:重定 賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)