更新日: 2019.01.11 その他暮らし

42兆円もある国民医療費 いつでこで誰がたくさん使っているのか?都道府県別で調べてみた

執筆者 : 松浦建二

42兆円もある国民医療費 いつでこで誰がたくさん使っているのか?都道府県別で調べてみた
国民医療費は42兆1381億円で国民所得の1割を超える規模になっていますが、いつどこで誰が医療費をたくさん使っているのでしょうか?
 
気になったので今回は都道府県別に診療種類の内訳を確認してみました。
 
松浦建二

Text:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

入院医療費の割合が高いのは九州を中心とした西日本の県

厚生労働省国民医療費から都道府県別の医療費を調べ、医療費のうち入院の医科診療医療費の割合が高い都道府県を順に10県並べてみました。
 
人口一人当たりの国民医療費や平均年齢等は総務省統計局の国勢調査を利用しています。
 

 
全国平均は、国民医療費42兆のうち入院医科診療医療費が37.5%を占めています。
 
そして入院外医科診療医療費が34.2%、薬局調剤医療費が18.0%、歯科診療医療費が6.8%となっています。
 
人口一人当たりの国民医療費は332千円、日本の人口の平均年齢は46.4歳、そのうち26.6%が65歳以上となっています。
 
入院医科診療医療費の割合が高い都道府県をみてみると、最も高いのは高知県で全国平均を約10%上回る47.1%となっています。
 
2番目は鹿児島県の45.5%、3番目は沖縄県の45.4%となっています。2番目から6番目まで九州の県が5県並んでいます。
 
共通して言えるのは、入院医科診療医療費の割合が高いことで他の3つの医療費は、北海道の薬局調剤医療費を除いて全て全国平均以下となっています。
 
沖縄県以外は平均年齢が高く、65歳以上の割合も高くなっています。
 
これらの道県では高齢者が多いことで医療費が多くかかり、入院を中心とした治療が一般的になっていると考えられます。
 

入院医療費の割合が低いのは東日本の都市部

先ほどの表とは反対に、今度は国民医療費のうち入院医科診療医療費の割合が低い都道府県を順に10県並べてみました。
 

 
入院医科診療医療費の割合が低い都道府県をみてみると、最も低いのは神奈川県で全国平均を4%下回る33.1%で、2番目は愛知県の33.5%、3番目は東京都の33.8%となっています。
 
1兆円を超える人口の多い都県が6番目まで並んでいます。
 
神奈川県と高知県では入院医科診療医療費の割合は13.6%の差があります。
 
また、人口一人当たりの国民医療費は143千円の差、平均年齢は4.8歳の差、65歳以上の割合は8.9%も違います。
 
入院医科診療医療費の割合が低い都県の特徴としては、入院医療費よりも入院外(通院)医療費の割合の方が高い都県が多い、歯科診療医療費の割合が高い都県が多い、薬局調剤医療費の割合が高い都県が多い、人口一人当たりの国民医療費が低い、平均年齢が若い、65歳以上の割合が低い等となっています。
 
国民医療費のうち入院医科診療医療費の割合が高い都道府県と低い都道府県を比べてみると、高齢者の割合が高くなると一人当たりの国民医療費が増え、それに連動して入院の医療費も増えやすい状況なのがよく分かります。
 
しかし、東北地方の各県は入院医療費の割合が高くないことから、高齢化以外にも何か要因があるはずです。
 
今回、国民医療費の入院医科診療医療費の割合について取り上げましたが、使われ方が適切であれば割合の高い低いは大した問題ではなく、国民医療費全体が減ることを考えることの方が大事です。
 
健全な財政を維持していくためにも、国民一人一人が協力して国民医療費を減らしていきましょう。
 
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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