妻が「節約のため」と、ベランダで野菜を育て始めました。最近ベランダが狭くなってきたのですが、「賃貸マンション」でここまでやって良いのでしょうか?

配信日: 2024.05.17

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妻が「節約のため」と、ベランダで野菜を育て始めました。最近ベランダが狭くなってきたのですが、「賃貸マンション」でここまでやって良いのでしょうか?
マンションのベランダで、ガーデニングをしている人は多いと思います。食べられるパセリやバジルを育てている人もいるでしょう。しかし栽培や収穫を楽しむうちに、徐々にトマト、キュウリとエスカレートしていき、プランターや園芸土などを買い込んでベランダが野菜畑状態に……などということはないでしょうか。
 
実は、マンションのベランダは災害時に避難路になるため、過度のガーデニングはNGであることが多いのです。本記事では、ベランダでのガーデニングの注意点について紹介します。
橋本典子

執筆者:橋本典子(はしもと のりこ)

特定社会保険労務士・FP1級技能士

マンションのベランダは「共用部分」

マンションのベランダは、自分の部屋の一部だと思いがちですが、共用廊下や階段などと同じ「共用部分」です。ただしベランダは「専用使用権のある共用部分」とされています。
 

非常時の避難経路

マンションに住んだことがある人は、隣のベランダとの仕切り板に「非常の場合はここを破って避難してください」と書かれているのを見たことがあるでしょう。ベランダは、普段はその部屋の住人だけが使用するスペースですが、火災などの非常時には、他の住人のための避難路として使われるのです。
 
消防法でも、ベランダを避難の支障となる状態にすることを禁じています。土の入った大型のプランターなどは容易に動かせないため、避難の邪魔になる可能性が高いといえるでしょう。
 

排水などの問題も

ベランダでのガーデニングの問題点は、緊急避難時だけのことではありません。プランターの土や植物の葉が排水口につまり、隣や階下の住民に迷惑をかけることもあります。また虫の発生などが問題になることもあるようです。
 
もし隣人からの苦情があり注意を受けても改善されないときは、賃貸マンションの場合、次回の契約更新に支障が出る懸念も出てきます。
 

マンションで野菜を育てたいときは

マンションのベランダでガーデニングをしてよいか否かは、マンションによって異なります。全面的に禁止の物件もあれば、ある程度は許容される物件もあるようです。
 

避難経路や排水を確保

ベランダでのガーデニングが許容されるマンションの場合でも、緊急時の避難路は確実に確保する必要があります。そのため、プランターの大きさや配置にはじゅうぶん注意しましょう。また、土や葉などが排水溝をふさがないよう、小まめな掃除も必要です。
 

室内でも野菜は育てられる

マンション規約でベランダでのガーデニングが禁止されている場合でも、室内で小さな野菜を育てることはできるでしょう。その場合は、日当たりのよい窓辺などで、パセリやハーブなどを育てるのも楽しいかもしれません。
 

まとめ

マンションのベランダは、非常時の避難経路になる共用部分です。そのためベランダでガーデニングをするときは、避難の支障にならないよう、プランターの大きさや配置を考える必要があります。また、排水溝の掃除なども定期的に行い、隣人に迷惑がかからないよう気を配ることも大切です。
 
もし隣人などからの苦情が多く、引っ越しせざるを得ない状況になってしまったら、せっかく野菜作りで食費が節約できても、引っ越し代のほうが高くついてしまいます。物価の高騰はこれからも続くと予想されますが、家族にそのように伝えてみてはいかがでしょうか?
 

出典

e-Gov法令検索 消防法
e-Gov法令検索 建物の区分所有等に関する法律
国土交通省 マンション標準管理規約
 
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士

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