更新日: 2019.01.11 その他暮らし
通院費が増えている10代が増えている? 通院費から考える国民健康
国民医療費を診療種類や性別・年齢階級で分けて探ってみました。
今回は国民医療費のうち入院外の医科診療医療費(通院費)を取り上げます。
Text:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
男性は65歳~69歳に最も通院費がかかっている
通院費を確認するために、厚生労働省国民医療費の入院外医科診療医療費(通院費)に着目しました。
下記の表は入院外医科診療医療費を性別・年齢階級別に一覧にしたものです。
入院外医療費がどのくらい増減しているかを確認できるよう、2010年から2016年までの7年間分を載せ、増減率も計算しておきました。
男性2016年の結果を確認すると、全年齢の入院外医科診療医療費は6兆9377億円で、前年より187億円増えています。
増え方は僅かですが、2010年と比べたら7417億円も増えているので、今後もまだまだ増加していきそうです。
年齢階級別にみると65歳~69歳の入院外医療費が9412億円で最も多く、次が70歳~74歳の8415億円、その次が75歳~79歳の8016億円となっています。
入院外医療費が最も少ないのは20歳~24歳の872億円で、65歳~69歳の1/10も医療費がかかっていません。
次に少ないのは25~29歳の1074億円、その次が15~19歳の1101億円で、入院費と同じように30歳代までは入院外医療費はあまりかからないと言えます。
しかし、生後間もない0歳~4歳までは2806億円で、40歳代並みに医療費がかかっています。
2010年から2016年までの推移をみると、6年間で男性の入院外医療費は12%も増えていますが、年齢階級別にみると減っている年齢階級も結構あります。
増加率が最も高いのは85歳以上の52.3%で高齢化社会の影響と考えられますが、他に65歳~69歳(35.2%)や45歳~49歳(25.9%)でも高い増加率となっています。
一方で減少しているのは、60歳~64歳で15.3%減、35歳~39歳で9.1%減等となっています。
男性の入院外医療費の増減は高齢化以外の何らかの要因もありそうです。
女性の通院費も65歳~69歳が最も多くかかっている
続いて女性の入院外医科診療医療費も年齢階級別にみていきます。男性とはかなり違いがあります。
女性2016年の結果を確認すると、全年齢の入院外医療費は7兆4543億円で男性より5166億円多く、前年と比べると男性は増えていましたが女性は187億円減っています。
年齢階級別にみると65歳~69歳が最も多いですが、65歳以上はあまり差がありません。
この統計は年齢階級ごとの医療費なので、高齢化社会で今後85歳以上の女性が増えていけば85歳以上の医療費が最も多くなると考えられます。
入院外医療費が最も少ないのは15歳~19歳の944億円で、次に少ないのが20歳~24歳の1123億円です。
若年層の医療費が少ないのは想像通りでしょうが、少子高齢化の少子の影響もあるはずです。
2010年から2016年までの推移をみると、6年で女性全年齢の入院外医療費は7.5%(5183億円)増えています。
男性に比べたら増加額は少なく増加率も低いです。
年齢階級別に増減率をみると85歳以上の増加率が最も高いですが、男性と同様にかなりバラツキがあります。
10歳代と40歳代等は増加している一方で、20歳代と30歳代は減少しています。
60歳代では60歳~64歳では減少しているのに、65歳~69歳は増加していることで、2010年に226億円しかなかった入院外医療費の差が2016年には3148億円へひらいています。
入院外医科診療医療費(通院費)は国民医療費の34%を占めています。
確率は違うもののどの世代でも通院する可能性はあります。
若い頃は水や空気のようにあって当たり前と思えた健康も、年を重ねていくと当たり前ではなくなり、努力をし続けないと失われてしまいます。
医療費がなるべくかからないよう、いつまでも健康でいたいものです。
Text:松浦 建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者