「住」の費用発生頻度は少ないが、家計負担感はメガトン級であることの覚悟が必要
配信日: 2018.11.24 更新日: 2019.01.10
「食」や「衣」と違って頻繁に手直しをしないだけに、「経験がものを言う」というルールが通用しない「住」の費用をどう考えればいいのでしょうか。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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古くなった自宅の部分リフォームなら買い替えよりましなはずだったのに
転居や買い替えではなく、水回りなどの部分的なリフォームだけにとどめようと決めた場合。洗面所と浴室だけの交換だから、転居や売買に伴う費用に比べそれほどの出費はないと思っていたのに、見積書を見て唖然とする、という話もよく聞きます。
リフォームとはいえ、かかる費用は引っ越し費用並み
もちろん、手間や費用、総合的に考えれば、リフォームは従来のマイホームの売却や買い替えに比べて、手軽でかつ費用も抑えて今のライフスタイルに合った手直しができるのは明らかです。
しかし水回りは、我々が思っている以上に水道管などを通じてつながっています。洗面所だけを手直ししても、同じだけの年数がたっているのですから、数年たてば台所に手を入れなければならないタイムリミットはやってきます。
その時に再度見積もり業者に依頼して、工事を発注してとなるとまた100万円単位の出費を覚悟しなければならなくなります。まして2~3年前に一度大きな出費をしたばかりとなると、「なんで何度も」という釈然としない思いが残るでしょう。
危機的状況になる前の見直しを意識しつつも、「ついで」メンテは控えめに
食は毎日ですが、住は数十年に一度という頻度の違いがあるために、負担感が大きく思われがち。しかし、実はどちらも生活していくには欠かせないものです。
住に関していえば、先延ばしをすると、水道管に致命的なダメージが発生してしまう恐れもあります。「今すぐ、取り換えなければならない」などといった緊急的な支払いが発生してしまうと、ライフプランはすべて書き換えなければならなくなります。
それを防ぐには、自分たちで10年~15年に一度は定期的に見直しをしていくのが望ましいでしょう。ただここで気をつけたいのが、「ついで」メンテ。10~15年ごとの見直しでは通常それほど緊急的・根本的な措置は必要ありません。
しかし、新しい機能が付加された洗面台や風呂などを見ると、ついつい財布の紐がゆるんでしまいがち。上限をしっかり決めておかないと、「めったにやることではないから」「せっかくなら」という理由で予算は100万円単位で膨らんでいきます。
マイホームはきれいになったけど、家計がどうにも……などということのならないいように予算上限を必ず設定しましょう。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者