更新日: 2024.07.11 その他暮らし
関東在住ですが、先日東北へ旅行にいったときガソリンが2円ほど安くて驚きました!なぜ地域差があるのでしょうか?
実はガソリン価格には地域差が存在します。「ある地域がほかの地域よりも数円安い」あるいは「数円高い」ということは一般的です。しかし、ふだんほかの地域に行くことがめったにない場合は、価格差に驚くこともあるでしょう。
本記事では、ガソリン価格に地域差がある理由について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
地域によってガソリン平均価格は変わる
経済産業省資源エネルギー庁が令和6年6月12日に発表したガソリン価格の平均値を、地域別に表1でまとめました(5月7日調査)。
表1
地域 | ガソリン価格 (レギュラー) |
---|---|
北海道 | 172円 |
東北 | 173円 |
関東 | 175円 |
中部 | 175円 |
近畿 | 173円 |
中国 | 175円 |
四国 | 176円 |
九州・沖縄 | 178円 |
全国 | 175円 |
※経済産業省資源エネルギー庁「石油製品小売市況調査」を基に筆者作成
全国平均は175円で、関東地方も同じ価格でした。それに対して東北は2円安い173円、北海道については3円安く172円でした。近畿については関東より安く東北と同水準ですが、西日本の平均価格は175〜178円の地域があり、東日本より少し高くなっています。
ガソリンに地域差がある理由
同じ地域でもガソリンスタンドによって価格は異なるため、「高い」「安い」を一概に総括することはできません。実際、ガソリン価格が安い地域にある一番高いスタンドは、ガソリンが高い地域の一番安いスタンドよりも、価格が高いケースがありえます。
とはいえ平均値で考えると、あきらかに地域差はあります。その理由はさまざま考えられますが、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
製油所からの輸送コスト
経済産業省資源エネルギー庁によると、地域差が生まれる理由の1つは「輸送コスト」です。
ガソリンはおおまかに「備蓄→製油所での精製→ガソリンスタンドへの輸送」という流れを経て消費者のもとへ届きます。輸送にはタンカーや鉄道、タンクローリーなどが使われますが、日本ではタンカーとタンクローリーでの輸送が大半を占めます。
ガソリンは製油所から直接輸送されるケースもあれば、「油槽所」と呼ばれる二次基地経由で輸送されるケースもあるようですが、ポイントは「製油所からスタンドまでの距離」です。
輸送距離が長いほど輸送コストがかかるため、製油所や油槽所から遠い地域では、輸送コストの分、ガソリン価格が高くなる可能性が考えられます。
2024年3月時点における国内製油所は20か所あり、東北地方には「仙台製油所」があります。前述の資源エネルギー庁のデータでは、宮城県や岩手県の価格が最安級ですが、これは製油所の位置関係と関連しているのかもしれません。
地域事情
ガソリン価格の地域差には、地域特有の事情が関係する可能性も考えられます。例として、積雪地とそれ以外の地域について挙げましょう。
積雪地では灯油の販売や冬タイヤへの交換など、ガソリン販売とは異なる事業での収入を期待できます。そのため冬の時期には、ガソリン価格を下げやすいといわれています。
それに対して温かい地域では、そのような売上が積雪地ほどないでしょう。そのため、ガソリン販売が収入の多くを占め、ガソリン価格が下がりにくい可能性があると推察されます。
需要や販売量による価格転嫁
地域差には、ガソリンの需要やスタンドの販売量も影響するといえます。人口が多い地域ではガソリンの需要が大きく、またそれに伴い販売量も多いと思われます。
一方過疎地域では都市部ほど需要が多くなく、販売量も頭打ちになる可能性があります。その場合、ガソリン販売に収入の大半を依存するスタンドは、ガソリン価格を高めに設定することで利益を上げる必要に見舞われるでしょう。
ガソリン価格の地域差は複数の理由により影響される
平均値で見れば、ガソリン価格は東日本の方が西日本よりも安い傾向が見られます。また同じ東日本でも、関東より東北の方が少々安いようです。その背景には、輸送コストや地域事情、ガソリン需要などさまざまな要素が関係していると思われます。
とはいえ、同地域でもスタンド間により価格差が生まれるケースも少なくありません。セルフスタンドかフルサービススタンドか、会員割引があるかなど、価格は種々の要素により異なります。そのため地域差だけで燃料費が決まるわけではないでしょう。
出典
経済産業省資源エネルギー庁 石油製品価格調査 1.給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油) 結果詳細版
経済産業省資源エネルギー庁 燃料油価格激変緩和補助金 何故発動価格は全国一律なのか。
全国石油業共済協同組合連合会 ガソリンの流通実態に関する調査報告書 図表19 物流の状況 20ページ
石油連盟 製油所の所在地と原油処理能力(2024年3月末現在)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー