不妊治療費が無償化に! 青森県が全国初、金銭的な理由により子どもを諦めた夫婦に希望の光

配信日: 2024.07.18

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不妊治療費が無償化に! 青森県が全国初、金銭的な理由により子どもを諦めた夫婦に希望の光
青森県は2024年7月1日より子どもを望む夫婦のために、生殖補助医療の医療費助成をスタートさせました。どのような制度なのか、不妊治療が与える家計への負担と合わせて制度内容を見ていきましょう。
前田菜緒

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)

FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)

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青森県の不妊治療費助成制度とは

青森県は合計特殊出生率を向上させる対策として、2024年7月から2025年3月まで不妊治療費を無償化する制度をスタートさせました。
 
対象となる治療は、2024年7月1日以降に開始する公的保険が適用される体外受精や顕微授精などの生殖補助医療です。生殖補助医療が対象のため、タイミング法や人工授精は対象外です。保険適用となる不妊治療には回数制限があり、年齢によって3〜6回となっています。
 
今回の制度は、この回数が残っていれば、7月以降の治療について助成対象となります。
 
公的保険適用となる生殖補助医療であれば、助成金額は自己負担額全額のため、いったん、立て替えが必要になるものの、自己負担なしで治療ができます。なお、高額療養費や健康保険組合から付加給付があれば、それら適用後の金額が助成されます。
 
対象者は青森県に居住している夫婦(夫婦の一方のみ青森県に居住の場合も可)、県内の受診はもちろん県外での受診も助成対象です。
 

その他の自治体での不妊治療助成の取り組み

青森県以外でも不妊治療に対して助成をしている自治体はあります。助成内容は自治体によってさまざまで、下記はその一部ですが、都道府県と市町村がそれぞれ補完しあう形で助成されているケースもあります。
 
・葛飾区
保険適用された特定不妊治療に加えて、自費で先進医療を受けた場合の治療費を助成。東京都の先進医療助成事業で適用された金額を差し引き、1回5万円を上限に助成。
 
・姫路市
先進医療会議において審議中、または審議予定の医療技術と併せて実施した特定不妊治療等の治療費の一部を助成。生殖補助医療と併用する先進医療と通院費用への助成は兵庫県が実施。
 
・鹿児島市
不妊症の検査・治療のうち、保険適用された費用について自己負担の2分の1を助成。タイミング法や人工授精も対象。生殖補助医療と併用する先進医療の助成は鹿児島県が実施。
 

12人に1人が生殖補助医療により生まれている

厚生労働省の資料(*)によると、2021年に誕生した出生児のうち8.6%は生殖補助医療によって誕生しています。これは、全出生児の約12人に1人の割合であり、この数値は年々増加しています。
 
この数値から、少子化対策において治療によってしか出産できない人への支援は重要とわかります。青森県知事もこの結果から制度の活用をしてほしいと会見しています。
 

不妊治療と家計の悩み

一方で、不妊治療と仕事の両立が難しいという問題もあります。両立ができず不妊治療のために仕事を辞めた人は約11%(*)いるそうですが、仕事を辞めると今度は治療費と家計の両立が厳しくなります。
 
さらに、不妊治療は子どもを出産することがゴールであるため、それがかなうまで続きます。筆者は、「費用面が心配だが、キャッシュフローを考えると、あと何回顕微受精ができるか」と相談されたこともあります。子どもはほしいけれど、治療費を出せないなら諦めるしかないのです。
 
不妊治療は費用面だけでなく、体への負担も大きいですから、お金の問題だけではありませんが、費用がかかるため治療を諦めるということはなくなるよう支援体制が整ってほしいと思います。
 
(*)厚生労働省 不妊治療と仕事との両立サポートハンドブック
 

出典

葛飾区 妊娠・出産について よくある質問
姫路市 ご出産を望まれる方への支援
鹿児島市 妊娠・出産に関すること
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士

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