更新日: 2024.07.31 子育て
娘が薬剤師を目指したいと言い出しました。応援したいのですが学費はどのくらいでしょうか? 医学部ほどでなくても特に私立となると高いですよね?
そこで本記事では、薬剤師になるために必要な進学先の選択肢と、卒業までにかかる学費の目安を分かりやすくまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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薬剤師になるには6年制薬学部への進学が必要
まずは、薬剤師になるためには、どのような大学に進学する必要があるのかを確認しておきましょう。
薬剤師になるには、薬剤師国家試験を受験して合格しなければなりません。薬剤師国家試験の受験資格として「薬学の正規課程のうち修業年限6年の課程を卒業すること」が定められているため、薬学系の学部のうち6年制の薬学部に進学することが必須条件です。
文部科学省が公表している、「薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第1回)」の薬学教育関連資料によると、令和2年時点では薬学系の大学は国公立19校、私立61校あります。同年の6年制の学部の定員は、国立536人、公立380人、私立1万686人となっており、決して門扉が広いとはいえません。
薬学部に進学すると学費はどれくらいかかる?
薬剤師を目指すために大学の薬学部に進学すると、少なくとも6年間分の学費がかかります。そのため、一般的な4年制の学部と比べると多くの学費が必要になることは、あらかじめ想定しておく必要があるでしょう。
また、大学の学費は進学先が国公立大学か私立大学なのかで大きな差があるのが一般的です。以下で、進学先別の学費の目安をそれぞれ見てみましょう。
国公立大学の場合
国立大学の入学料や授業料の基準は法律で定められており、学部が文系でも理系でも基準を大きく外れることはありません。
文部科学省の「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」による、令和6年現在の国立大学の学費の基準額は、次のように定められています。
●入学料:28万2000円
●授業料(年額):53万5800円
つまり、入学料28万2000円と53万5800円×6年間=321万4800円を合計した349万6800円が、6年制薬学部に進学し6年で卒業した場合の学費の総額の目安となります。
公立大学の学費も、基本的には国立大学の基準に準じて設定されています。ただし、完全に国立大学と同じではなく、自治体内の入学者の入学料優遇など、各大学が独自に定めた制度で運用されていることに注意しましょう。
私立大学の場合
文部科学省の同調査結果によると、私立大学薬学部の初年度学生納付金の令和5年度の平均額は次のとおりです。
●入学料:33万2681円
●授業料:143万3292円
●施設設備費:31万97円
初年度だけで平均207万6070円かかる計算となり、さらに2年目以降の授業料を足すと6年間では総額920万円を超えます。これは、国立大学の3倍近い金額です。
私立医学部の初年度納付金の合計額が約508万円と比べると軽い負担にも思えますが、私立文科系の初年度納付金の平均が120万円(いずれの金額も同調査による)であることを考えると、やはり学費の負担が大きい学部の一つといえるでしょう。
また授業料のほかにも実習費などがかかる場合が多く、実際の負担はさらに大きくなることが予想されます。
支援制度や奨学金を活用しよう
世帯収入が多くなく大学の在学費用の負担が厳しい場合は、高等教育の修学支援新制度(大学無償化)の利用を検討するのも手です。家族構成などの条件にもよりますが、一般世帯では年収380万円程度まで、多子世帯では年収600万円程度までを目安に、授業料の減免などの支援を受けられます。
また、日本学生支援機構をはじめとする奨学金制度や学資ローンなども活用することで、在学中の経済的な負担をおさえながら、希望する学問を修めることが可能です。国家資格を得て薬剤師として勤務できるようになれば、比較的高給も望めるため、将来への投資として検討する価値はあるでしょう。
薬剤師を目指すにはお金がかかる! 資金をしっかり準備しよう
薬剤師になるには、最低でも6年間大学に在籍して、国家試験の受験資格を得るのが必須条件です。比較的学費が安い国立大学に進学したとしても、4年制学部の1.5倍の学費がかかることを想定しておかなければなりません。
また、私立大学に進学した場合は、文科系の学部などと比べて格段に大きな費用がかかります。助成制度や奨学金の利用なども含めて、資金をどのように準備するかあらかじめ計画を立てておきましょう。
出典
文部科学省 薬学系人材養成の在り方に関する検討会(第1回) 薬学教育関連資料
文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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