一時停止違反で「7000円」の反則金が!「どうせ逮捕されない」と放置すると、前科がつく場合も!?“懲役刑”の可能性もあるって本当?
配信日: 2024.08.23
警察庁の「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書」によると、2022年度の交通反則通告制度の反則金の納付率は98.5%であり、ほとんどの人はしっかり反則金を支払っています。しかし、一部には反則金を支払わない人もいるのです。
中には「支払わなくても逮捕されるわけがない、逮捕されそうになったら払えばいい」と思う人もいるかもしれません。しかし、たとえ数千円の反則金であっても、支払わないと逮捕されたり、前科がついたりする可能性があることをご存じでしょうか?
本記事では、違反時の反則金を放置した場合どうなるのか解説します。
執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
道路交通法では一時停止違反でも懲役刑の可能性がある
道路交通法第109条によると「第43条(指定場所における一時停止)の規定の違反となるような行為をした者は、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する」とされています。一時停止違反をするだけでも、道路交通法上は懲役刑となる可能性があるのです。
そこまで重い罪になると思っていない人が多いのは、交通反則通告制度(通称青切符制度)があるからでしょう。交通反則通告制度を適用すれば、一時停止を含む軽微な違反は所定の反則金を支払うことで、道路交通法上の刑事罰が免除されます。したがって、「一時停止の罰則=反則金7000円」という認識を持つ人が多いのです。
反則金を支払わないとどうなる?
ここからは、指定場所における一時停止の規定に違反して取り締まりを受けたケースで、反則金の支払いを拒み続けた場合を考えましょう。
反則金を払うチャンスは何度かある
取り締まりを受けると、反則金の仮納付書が交付されます。期限内(受け取った日の翌日から起算して7日目まで)に銀行などで反則金7000円を仮納付すれば、刑事罰を受けることはありません。
仮納付書の期限が切れてしまった場合は、交通反則通知センターに出頭し、桃色紙と呼ばれる交通反則通告書を受け取ることで、再度反則金を納付する機会を得られます。
なお、仮納付書の期限が切れた後に出頭しない場合は、違反した日からおおむね2ヶ月後に、交通反則通告書(桃色紙)が配達証明付書留郵便で届きます。
この交通反則通告書(桃色紙)での反則金支払いにも期限(受け取った翌日から起算して10日目まで)があり、原則これがラストチャンスです。ここで期限までに支払わないと刑事手続きに移行します。
刑事手続きで起訴され有罪となると前科がつく
反則金の支払いを拒み続けると後日出頭要請が届き、刑事手続きに移ります。取り調べが行われ、検察官が起訴すべきだと判断した場合は刑事裁判を受けなければなりません。
刑事裁判で有罪となった場合は前記した通り「3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金」に処されます。また、罰金刑は反則金とは違い立派な刑事罰です。
罰金の金額は、反則金の金額7000円以上になることもありますし、罰金刑に処されると前科がつきます。前科がつくことを避けたいのであれば、刑事手続きとなる前に反則金を支払わなければなりません。
最終的には逮捕の可能性も
警視庁交通総務課は7月10日、公式Xアカウントにて、「6月中、交通違反に伴う反則金を納付せず、長期にわたり出頭しない違反者等292名を逮捕しました」と発表しています。たかが一時停止違反くらいで……と考えていると、いつか大ごとになる日がくるかもしれません。
前科・逮捕を避けたければ反則金を支払う
一時停止義務違反といった軽微な違反でも、道路交通法上は前科のつく可能性がある犯罪とされています。交通反則通告制度は、反則金を支払うことで刑事罰を回避できる制度であり、前科を避けたい場合は、反則金を支払えるうちに支払うべきです。
反則金を支払うことを選ぶか、違反を認めず前科がつくリスクを覚悟して裁判で争うかを選ぶのは自由です。最も避けるべきは「逃げ得ができるかも」と思うことです。反則金を支払わず、出頭にも応じない場合は「逮捕」という最悪の事態に発展するかもしれないことを知っておきましょう。
出典
警察庁 良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書
e-Gov法令検索 道路交通法
警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表
千葉県警察 交通反則通告制度 よくある質問
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士