更新日: 2024.08.27 その他暮らし
20代男性です。友人が「タイパ重視の副業を紹介された」と喜んでいましたが、詐欺じゃないかと心配しています。うまい話には裏がありますよね?
今回はさらに、独立行政法人国民生活センターからの事例(※1)をもとに、投資話を持ち掛けられたとき、もしくは投資を始めようと思った時に注意するべきポイントをお話しします。
執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
「簡単に儲かる」って信じていいの?
2024年は新NISAが始まったこともあり、投資を始めた方も多いでしょう。ただ、日本人にとって、「元本保証ではない商品」を購入するハードルは高いものです。投資について地道に学んでいくよりも、知人の「簡単に稼げる」「儲かる」などの言葉に頼るほうが簡単かもしれません。
前述の国民生活センターのホームページでは、「20歳代が狙われている!遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる副業や投資の勧誘に注意」というタイトルで注意喚起がされ、以下のような例が挙げられています。
・遠隔操作アプリで画面共有をしながらFXの自動売買ツールのプランの勧誘を受け、そのまま借金の申請も誘導された
・副業のサポートプランを勧誘され、遠隔操作アプリを用いて複数の貸金業者に借金するよう指示された
このように、若者が巻き込まれるトラブルというのは、スマートフォンを持っていれば簡単に巻き込まれるもので、たとえ家族であっても気づきにくいというのが特徴でしょう。
スマートフォンを利用した「遠隔操作アプリ」の存在は、非常にやっかいだといえます。遠隔アプリとは、自分のスマートフォンやパソコンに遠隔地の第三者が接続して、遠隔操作を行うアプリのことを指します。これを悪用されると、消費者の端末が事業者に画面共有された状態で事業者から指示され、借金をさせられるケースが多くみられるようです。
親の世代では考えられない「借金する方法」については、成人となった子どもから相談されるころには、かなりの金額になっていることも考えられます。
副業や投資話に興味を持ち始めた方が、「給与収入以外に不労所得がある」「投資で資産が倍以上になった」などを身近な知人や友人から聞かされると信用しそうになりますが、まずは、「簡単に稼げる」という言葉をうのみにせず、投資に近道はないと思っていただきたいものです。
投資といわれても何から始めるかわからない方への基本のキホン
投資をこれまでしていなかった方が、新NISAが始まったからといって、いきなり投資できるわけではありません。投資を始められないのは、「資金や知識の不足」だと理由が挙げられています(※2)。
さらに、気軽に始められる投資方法についても選択肢があります。「コーヒー1杯分を投資する」「買い物で貯まったポイントで投資する」「買い物で出るおつりを利用した投資をする」など、投資金額としては非常に少ない始め方ですが、投資ビギナーにとっては負担の少ない始め方です。
SNS等で「儲かった」と公言している方の投資金額は多額のケースもあるので、このような始め方には「それだけ?」という落胆を感じるかもしれません。ただ、投資を始めるにあたって大切なのは、「損をすることもある」という感覚に慣れることです。
昭和の時代であれば、定期預金に預けただけでも順調に資産が作れたかもしれませんが、今はこのような安全安心な商品はありません。他人が儲けたから自分もできるというのは考えず、「リスクもあるから」「資産が減ることもある」と予想して、投資金額を設定するといいでしょう。
もし、投資詐欺と思われる勧誘にあったり、怪しげな勧誘にすでにお金を支払ってしまったりする事態になっていたら、まずはお近くの消費者センターや消費者ホットライン「188」で相談してみてください。借金が減ることはないかもしれませんが、それ以上の被害拡大を防ぐことは可能です。
「お金が欲しい」「裕福な生活がしたい」ということはだれにでもある望みでしょうが、まずは、だまされないこと、だまされたとしても被害を拡大させないこと、そして、少しずつでも自分なりの投資ルールを作ることは大切なことです。
近年、会社の就業規則に「副業を認める」という一文を追加する企業も多くなっていますが、あくまでも「本業をおろそかにしない範囲で許可を出している」というスタンスのはずです。通常得られる収入を基本として、上乗せとしての副業や投資があることを前提として、本末転倒にならないようにするべきでしょう。
出典
(※1)独立行政法人 国民生活センター 20歳代が狙われている!? 遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる副業や投資の勧誘に注意
(※2)金融広報中央委員会 知るぽると 人生100年時代 今からできるシンプル投資
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。