更新日: 2024.10.30 その他暮らし

「0110」の番号から警察官をかたる詐欺電話がかかってくることがあると聞きました。ニセ警察官に騙されない方法を教えてください。

「0110」の番号から警察官をかたる詐欺電話がかかってくることがあると聞きました。ニセ警察官に騙されない方法を教えてください。
Bさんの携帯電話の着信音が鳴りました。
 
着信番号を見たら、なんと「○○○-△△△-0110」「え?!何で警察から?」「落とし物かな?」などと思いながら恐々出ると、「○○県警のの××」と名乗り、続けて「詐欺グループを逮捕したら、あなた名義のキャッシュカードがあった」と言います。突然のことで頭が真っ白になります。
 
いったいどういうことなのでしょうか?
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

警察署の番号が表示される

「電話番号を確認してください」と言われるままに確認すると、本当に○○県警の電話番号です。その後、LINEに誘導させ、ビデオ通話により聞き取りをします。さらに警察手帳を示して信用させ、銀行口座番号などの個人情報を聞き出そうとします。
 
パニックになっているBさんに、「このままでは逮捕されます。事件に関与していないことを証明するためには調査をしなければならないので、お金を振込んでほしい」と続けます。
 
しかし、警察官が調査のためにお金をとるのでしょうか? 自分の仕事ではないのでしょうか。しかし、この電話番号は実際の警察署のものです。
 
実はこの電話番号表示、実在する警察署の電話番号を装うもので、詐欺の常套手段なのです。こうすることで、本物の警察官であると信用させるのです。多くの場合はこの手口で相手を信用していますが、電話番号の偽表示は詐欺グループの常套手段です。
 
日本の場合、多くの警察署の電話番号に「0110」が使われています。警察=110番であるので、「0110」がついていると警察署からの電話だと信じてしまいます。
 

どのような流れでだましてくる?

高知県警のホームページに「警察をかたる詐欺に注意」において、だます手口が公開されています。
 

・電話番号が不正利用されている
・マネーロンダリング事件の容疑がかかっている
・詐欺グループを逮捕したら、あなた名義のキャッシュカードがあった

などと言ってきます。
 
その後、SNSに誘導し、ニセの警察手帳やニセの逮捕状を見せてきますが、ニセモノの「逮捕状」でも、見せられると冷静に対応はできません。動揺しているところを狙って、銀行口座番号等の個人情報を聞き出そうとしてきます。
 
さらに、
・身に覚えがなければ「無関係証明書」を出してもらう必要がある
・事件に関与していないことを証明するためには調査が必要なので、お金を振込んでほしい
・優先捜査をするにはお金が必要

などと言って、お金をだまし取ろうとしてきます。
(出典:高知県警察 警察をかたる詐欺に注意)

 
「大変なことになった!」と思う被害者は、一刻も早く無実の証明をしたいでしょう。その焦る気持ちにつけ込んできます。つけ込まれた被害者は、相手にいわれるがままにお金を出してしまいます。
 
どれだけの被害があるのでしょうか。例えば、大分県警の発表によると、2024年10月4日から6日までの3日間で、大分県警が確認した被害件数は6件、被害総額は8070万円にのぼっているということです(引用 大分県警察X 2024年10月25日)。
 
また富山県警は、2024年は8月23日現在で12件発生し、被害額は1億6000万円にのぼったのですが、昨年は発生がなかったとのことです(富山県警察本部 だまされんちゃ通信令和6年9月号)。
 
他にもホームページで注意喚起している自治体が多くあり、日本中で発生していることから、警視庁はホームページにおいて「警察官をかたる詐欺」の注意喚起をしています。
 
そして、外務省在ニューヨーク日本国総領事館はホームページにおいて、このように発信元を偽装して警察官をかたり、SNS等のビデオ通話に誘導し、逮捕等を示唆してお金をだまし取ろうとする詐欺被害が、日本中どころか世界中で発生していると注意喚起しています。
 

ニセ警官にだまされないために

ニセ警官にだまされないよう、警視庁が警察官をかたる詐欺についてホームページで注意喚起しています。
 
偽警察官は、電話からLINEなどのSNSに誘導します。警察署に出向かれると困るので、ニセ警察官は、遠方で事件が発生したためビデオ通話で取り調べると言ってきます。警察官が業務でSNSやビデオ通話で連絡をとることはありません。最寄りの警察署に出向くと伝えましょう。
 
警察官がお金を要求してきたら、それはニセモノです。金銭以外にも、個人情報等(生年月日、住所、銀行口座番号、預金額)を聞き出そうとしたら詐欺を疑いましょう。
 
本物の警察官かどうか分からない場合もあります。もし、警視庁や他県の警察官をかたる電話があったときは、まず、冷静になりましょう。そして、相手の「所属、担当部署、氏名、内線番号」を確認し、いったん電話を切ってお近くの警察著へ連絡しましょう。
 
また、警察官をかたる電話は、+1、+44から始まる国際電話を使用していることが多いので、+1や+44が表示されたら出ない、かけ直さないよう注意しましょう(国際電話が不要な場合は、休止することもできます。国際電話不取扱受付センターへお問い合わせください)。
 

出典

警察庁・SOS47 特殊詐欺対策ページ 外国からの電話の利用休止
警視庁 警察官をかたる詐欺
在ニューヨーク日本総領事館 【注意喚起】銀行員や警察官等を装った電話詐欺(特殊詐欺)
高知県警察 警察をかたる詐欺が発生!
高知県警 x 2024年10月25日ポスト
富山県警 だまされんちゃ通信 令和6年9月
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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