更新日: 2024.11.02 その他暮らし

引っ越し先にはエレベーターがありますが、1階の部屋なので使うことはありません。月5000円の「共益費」からいくらか引いてもらえるのでしょうか?

引っ越し先にはエレベーターがありますが、1階の部屋なので使うことはありません。月5000円の「共益費」からいくらか引いてもらえるのでしょうか?
賃貸物件のアパートやマンション、また自己所有物件でも共益費や管理費といった名目の費用がかかるケースがあります。これらの費用には、共有部分の維持や管理をする目的があります。
 
しかし、共用部分を使用しない、使用できない状況でも共益費を支払う義務があるのでしょうか。本記事では、共益費や管理費に関する法的な根拠などを解説します。共益費に疑問がある人は参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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賃貸物件の共益費・管理費とは

賃貸や自己所有に限らず共同住宅やマンションに居住していると、居住者全員が共有するスペースが存在します。主な共用部分は以下のとおりです。


・アプローチ(マンションなどの入り口から玄関までの通路)
・エントランス
・階段
・エレベーター
・廊下
・ごみ置き場
・ベランダ
・駐車場

共有部分には電灯の電気代、清掃費用、水道料金などの維持費がかかるので、これらを賄うために共益費や管理費の支払いを求められるのが一般的です。共益費は一定のルールのもとに取り決められているので、まずは自身が支払う共益費や管理費のルールを確認しましょう。
 

エレベーターを使わない1階の居住者でも共益費や管理費が同じ理由

共用部分は、賃貸物件と購入物件とでは大きく異なる点があります。賃貸物件では共用部分の所有権は賃貸人(大家)にありますが、マンションを購入した場合は、原則として共用部分は購入者全員で共有することになります。
 
したがって賃貸の場合、共益費は家主に支払う費用ですが、分譲マンションでは主に管理費と呼ばれ、所有者全員で積み立てする費用です。いずれの場合も共用部分の保全・管理が使用目的です。
 

自分が使わなくても間接的な使用によって利益を受けている

共同住宅の1階に住んでいる場合は、直接エレベーターを使用することはないので、同じ共益費・管理費を支払うことに抵抗がある人も多いでしょう。
 
しかし共用部分はエレベーターだけではない点や、自分が使用しないエレベーターでも間接的に自分の利益につながっている点からも共益費・管理費は一律の金額となっています。
 
具体的には、エレベーター以外の設備を点検に来た作業員がエレベーターを使用することは通常あり得ることです。つまり、自分が使用しているかどうかだけで共益費・管理費が定められているわけではないのです。
 

過去に判例がある

エレベーターを使用していないことを理由に、管理費の一部を支払わなかった点が争点となった裁判が過去にありました。結果は、エレベーターを使用していなくても管理費は全額支払わなくてはいけないという判決でした。
 
判決の理由はエレベーターが共用部分であることは明らかで、共用部分は全員で保全すべきものであり、管理費を減額する理由はないというものでした。この判決の背景にはマンションの管理費は「棟や土地の共有部分に応じて算出する」という標準的な標準管理規約があります。
 
この規約を承認してマンションを購入している限り、共用部分の使用頻度によって管理費の減額を要求することはできません。賃貸の場合も同様で、賃貸契約書に使用頻度によって共益費を減額するとなっていない限りは一律の共益費を支払う必要があります。
 

規約の変更により管理費の減額ができる可能性はある

過去の判例から、すでにマンションを購入あるいは賃貸契約を結んでしまっている場合は、共用部分を使用していないからといって共益費や管理費の減額を主張しても認められません。つまり、契約を締結する前に交渉する場合だけ減額できる可能性があるといえます。
 
しかし、現実的にはそれも難しいでしょう。分譲マンションの場合は規約変更のために一定数以上の賛同を得る必要があり、賃貸では一人でも例外を認めると全員に認めなくてはいけなくなるからです。
 

エレベーターを使わない1階でも原則共益費は同じなので、入居前にしっかり確認しておこう

共同住宅の1階に住んでいる人は、自分が使わないエレベーターが共益費の一部となっていることに疑問を感じるでしょう。しかし、過去の判例からも契約後には共益費の減額を主張できません。
 
契約や規約を改定してもらうことも現実的には難しいので、入居前には契約や規定の内容を十分に検討してから契約を締結しましょう。
 

出典

e-Gov 法令検索 建物の区分所有等に関する法律
裁判所  裁判例結果詳細
国土交通省 マンション標準管理規約(団地型)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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