更新日: 2019.07.03 その他暮らし
サラリーマンが個人で会社を買う!独立・起業に興味のある人の7割以上が「興味あり」
そうすると、雇用にも影響が出てきますし、優秀な技術を持った会社が廃業するのは地域の損失になります。そこで、官民あげて「事業承継」を支援しているのですが、昨年「サラリーマンは小さな会社を買いなさい」(三戸政和著:講談社)という本が話題を呼び、ふつうのサラリーマンが自分の将来のために会社を買う(M&A)という動きもあるようですが、ほんとうでしょうか?
株式会社経営承継支援が『20~50代のビジネスパーソン男女に聞いた「独立・起業に関する意識調査」』で、「個人が会社を買うこと」についての意識調査を行い、発表したので見てみましょう。
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
独立・起業に関心を持つ理由の1位「定年退職後の収入に不安がある」
株式会社経営承継支援(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:笹川敏幸)は、20~59歳の独立・起業に関心があるビジネスパーソン男女400名を対象に、「独立・起業に関する意識調査」を実施しました。
まず、そもそも『独立・起業に関心を持っている理由』の第1位ですが「定年退職後の収入に不安がある(39.0%)」ということです。これは当然50代が一番高く53.0%がそう答えています。そして続いて第2位は「副業やパラレルワークに興味がある(35.0%)」、第3位「自分の裁量で仕事がしたい(31.8%)」と続きます。そもそも、独立・起業に前向きな人たちですから、これらは納得ですが、一番の理由には「定年後の心配」が来るのですね。
さて、今回テーマの『個人が既存の会社を買って(M&Aで)独立・経営者になる方法について』という問いには「非常に興味がある(21.3%)」、「やや興味がある(50.3%)」と、7割以上が興味ありと回答しています。70%強の人が興味を示しているのですね! 独立・起業に前向きな人たちとはいえ、なかなか高い数字だと感じます。
ただし、どれぐらいお金を貯めているかというと、独立・起業に前向きな人たちであっても、『独立・起業のためにお金を貯めているか?』という問いには、「貯めていない」が55.2%と半数以上が資金を貯めていません。「貯めている」と答えた44.8%にその金額を聞くと、全世代の平均は1259万円とのこと。20代でも平均1022万円貯めています。
50代では平均2446万円貯めているようです。本調査では独立・起業したときの資金調達についても聞いていますが、「自己資金」と答える人が、複数回答ながら8割を超えています。
個人でのM&Aには興味はあるがプロセスや実務は知らない人が多い
ところが、『個人が会社をM&Aする際のプロセスや実務をどれだけ知っているか』という問いには、プロセスや実務について知っている人はわずか2割程度にとどまるようです。つまり、個人M&Aのニーズは高まっているものの、案件探しや交渉、契約等については、専門家によるサポートが必要と考えられるのではと本調査には述べています。
それでは、仮にM&Aを行うとしたら、どんな業界がいいのか? という問いについては、「IT・WEB・通信関連業(21.5%)」「製造業・メーカー(19.5%)」「医療・薬品・ヘルスケア関連業(17.5%)」と続きます。これらの会社をイチから立ち上げるのは大変そうですよね。設備投資や、規制のクリア、従業員の採用などやることが山積みです。
繰り返しになりますが、この調査は独立・起業に興味のある人対象であり、一般のサラリーマンの意識より、それぞれ数字が高いのではないかと思います。それでも、会社を個人でM&Aすることに興味がある人7割というのはかなりの数字で、「中小企業の事業承継」の課題解決に結びつけられないものでしょうか。
※株式会社経営承継支援『20~50代のビジネスパーソン男女に聞いた「独立・起業に関する意識調査」より
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家