父親から「生活保護」の扶養照会が届きました。絶縁状態ですし「年収300万円」で援助する余裕もないのですが、いくら援助する必要があるのでしょうか?
配信日: 2024.11.09
本記事では、生活保護の扶養照会の概要や届いたときの対処法について解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
生活保護の扶養照会とは?
生活保護の扶養照会は、生活保護を申請した人に親族がいる場合、その親族が経済的に援助できるかどうかを確認するために、自治体から連絡が来るものです。
例えば親が生活保護の申請をした場合に、子どもに扶養照会の連絡が来ることがあります。生活保護は国がサポートする制度ですが、まずは家族間での扶養が優先されるため、この手続きが行われます。
一方で、自治体が生活保護を申請した人へ聞き取りをして、家族から扶養義務の履行が期待できないと判断した場合には、扶養照会を行わないこともあります。
求められる援助額は?
援助額については、具体的に「いくら援助しなければならない」という基準や、相場はありません。扶養照会はあくまで援助をする側に対して「いくらまでなら援助できるか」を問うものです。つまり自分が援助できると判断した分の金額を援助することになります。
仮に同じ年収であってもその人の生活や家族状況によって援助の可否や援助できる金額に違いが生じるでしょう。一般的に、年収300万円であれば、生活費や家賃を引いた後に残る金額が少ないため、援助する余裕はないかもしれません。まずは自分の生活を守ることが優先されるため、無理をしないようにしましょう。
絶縁状態でも援助が必要?
家族や親族と絶縁状態の場合、感情面で「援助するなんて考えられない」「なぜ今さら? 」と感じる人も少なくないでしょう。法律上は家族に扶養義務が発生しますが、実際には、家族関係にあっても扶養義務が期待できないと判断されることもあります。
例えば、一定期間(10年程度)音信不通であるなど、交流が断絶していると判断される場合は、著しい関係不良とみなされます。そのため、そもそも扶養義務が適用されないと考えられ、扶養照会の対象とならないケースもあるのです。
また扶養照会が届いたとしても、断ることができます。扶養照会の目的は、「援助の依頼」ではなく「援助が可能か知ること」です。金銭的に余裕がない場合や、精神面で援助したくない場合は、その旨を伝えて援助を断ると良いでしょう。
援助は断れる! 落ち着いて対応しよう
生活保護の扶養照会が突然届くと、不安になるかもしれません。「絶対に援助しなければならないの?」と感じるかもしれませんが、援助は断ることができます。落ち着いて冷静に対応を進めることが大切です。
自分の収入や生活状況、生活保護を申請した家族との関係を事前に整理しましょう。自分の生活に余裕がなかったり相手と絶縁状態だったりして援助が難しい場合、その事実を自治体に伝えることが大切です。まずは自分の生活を守るため、落ち着いて対応してくださいね。
出典
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について
執筆者:山田麻耶
FP2級