更新日: 2024.11.11 子育て

PTAには必ず加入しないといけないのでしょうか? 共働きなので、役員になるとボランティア活動をするのが難しいのですが……。

PTAには必ず加入しないといけないのでしょうか? 共働きなので、役員になるとボランティア活動をするのが難しいのですが……。
ほとんどの学校にあるPTAですが、ネガティブな話題がよく聞こえてきます。
 
「PTAには入らないといけないの? 」「いろいろ役割がありそうで面倒くさそう」「いろいろ押し付けられそうで不安」「共働きで夫婦ともPTA活動に時間を割けない」などと思われる方も多いでしょう。
 
あらためて、PTAとはどのような組織なのか。その目的は? 加入しなければならないの? 役員やボランティア活動を断ることはできる? といった話から、PTA会費っていくらくらい? 会費はどのように使われているの? などの疑問に現役の某公立小学校PTA会長を務めるFPがお答えします。
西山広高

執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー(CFP®)、上級相続診断士、宅地建物取引士、宅建マイスター、西山ライフデザイン代表取締役
 
http://www.nishiyama-ld.com/

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

西山ライフデザイン株式会社 HP
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そのそも「PTA」って何?

PTAは「Parents Teacher Association」の頭文字をとったもので、直訳すれば保護者と先生の組織、ということになります。
 
教育は学校だけで行うものではありません。学校では「学校教育」を行いますが、児童・生徒は家で過ごす時間も多く「家庭教育」も必要です。さらに、「社会教育」は地域や社会との関わりを学ぶことです。PTAは子どもたちの教育のなかにはで「学校教育」「家庭教育」ではカバーしきれない部分を補う社会教育団体です。
 
PTAの具体的な活動内容は学校ごとに差があり、一様ではありません。それぞれの学校のPTAが、自分の学校の子どもたちのためにどのような活動をすべきかを独自に考え、実行しています。
 

PTAは絶対に入らないといけないの?

PTAは任意団体ですので、加入・活動への参加は義務ではありません。なかには「どうしてもPTAに入りたくない」あるいは「PTAに加入できない事情がある」として、加入されない方もいます。
 
PTA活動はボランティアです。本来は「絶対にやらなければならない」ということはありません。しかしながら、子どもたちが安全に充実した小・中学校生活を送るために必要なPTAの事業がある反面、そうした事業を担当していただける方が少ない場合、事実上「義務」に近い状況になってしまうこともあり得ます。
 
特に児童数、家庭数が少ない学校ではその傾向が顕著です。
 

PTA活動への参加を断ったらどうなる?

前述のように、PTA活動はボランティアですので「断った」からといって不利益は受けないことが前提のはずです。しかしながら、必ずしもそうとは言い切れないPTAもあるようです。

・PTA会費で購入する記念品をPTA未加入世帯の子どもには配らない
 
・PTA活動に参加できないという方には、参加できない理由を述べてもらう
 
・保護者同士の人間関係が悪くなる

などといった嫌がらせのようなことが行われたケースもあると聞きます。
 
PTA活動は自身の子だけでなく、在校するすべての子どもたちに対して一様に提供されるべきです。また、保護者自身の体調不良や、両親の介護が必要だから、あるいは経済的な理由などは個人情報でもあり、無理に公開させるのは望ましくありません。
 
一方で、共働きだからというのは、ほかにもたくさん共働き家庭があるなかにはでは理由にならなくなっています。
 
まだまだ社会的には、「PTA活動もボランティア活動である」という認識が浸透しておらず、勤務先の理解などを得るのが難しい場合もあるようです。「少子化社会をどうする」という議論のなかにはでは、こうした理解の浸透も不可欠だと思います。
 
最近では、保護者の負担軽減を考えるPTAも増えていますが、まだまだ過渡期です。学それぞれのPTAで取り組み状況に差があるのが現状でしょう。
 

PTA会費っていくらくらい?

PTA会費も決まりがあるわけではありません。それぞれの学校のPTAが独自に定めています。学校や地域によって差がありますが、2000円~5000円程度のところが多いようです。
 
それぞれのPTAが行っている事業の内容や、家庭数によっても会費に差が生じます。家庭数の多い学校のPTAでは会費が安く抑えられる傾向にあるように感じます。
 
また、PTA会費の徴収方法も決まりがあるわけではありません。年度の初めに一括して徴収する場合が多いようですが、年度の途中で転校した場合の返金制度(月割や学期割などで)がある場合や、ひとり親家庭への会費減免制度(半額返金など)がある学校もあります。
 

PTA会費は何に使われるの?

PTAの会費の使途は大きく「運営費」と「活動費」に分かれます。
 
「運営費」はPTAの組織を維持するために必要な費用で、コピー機などのリース料や、通信費、事務用品などの購入費などに使われます。PTAの組織を維持するための固定費といえます。
 
「活動費」はそれぞれのPTAによって差があります。広報誌の印刷、登下校時やイベント時のパトロールのための備品、PTA活動時に万が一事故やケガが発生した場合の保険料、PTA主催のイベント開催にかかる費用などがあります。入学時、進級時、卒業時のお祝い品などを作成する場合の費用などもあります。そのほかに、周年行事のための費用を積み立てたりしています。
 
PTAによっては、学校の備品購入に会費の一部が充てられる場合もあるようですが、これは望ましくありません。特に公立校では、学校が必要なものは学校(の属する自治体の公費)で購入するのが原則です。
 
PTAとして会費を徴収している以上、会計報告はしっかり行われるべきです。少なくとも年に一度、PTA総会などの場で会計報告を行い、承認を得る手続きを踏む必要があります。
 

PTAに加入、活動に参加するメリット

PTAへ参加することにより、子どもたちだけでなく保護者にもメリットがあります。
 
保護者同士がつながりあう機会が増え、子どもたちの学校生活への理解が深まるとともに、先生方と関わる機会も増え、学校教育への理解も深まります。また、地域との関わりも増え、地域のコミュニティとの交流も図ることができます。
 
PTAの活動に参加することで、子どもたちの成長の過程をより近くで感じることができ、保護者も地域とのつながりが生まれ、普段の生活もより充実したものになるでしょう。
 

PTAも変わりつつある

PTAの制度は戦後間もないころに導入されました。当時に比べ、共働き家庭が増え、核家族化が進んだことで保護者の状況も変わり、PTA活動に参加しにくい家庭が増えていることは間違いありません。
 
最近では、少子化が進行するなかには、子育て世帯を経済的に支援する動きが増えています。幼児教育無償化などのほか、地域によって差はありますが、医療費、教育費、学校給食の無償化などといった施策が国、あるいは地方自治体単位で導入され始めています。
 
一方、子育ての負担は経済的な面だけではありません。共働き家庭が多くなっていることもあり、子育てを夫婦で共同して行う必要性も高まっています。PTAは母が参加するものという考え方ももはや古くなっています。
 
PTAも変わりつつあります。
 
多くのPTAがコロナ禍前は、前年に行った事業を継続して行っていました。しかし、コロナ禍で前年と同じ事業を行えなくなるケースが増えました。コロナが5類に分類されて以降、学校やPTAの事業も正常化しましたが、PTAの役員はその多くが2、3年のうちに入れ替わってしまうこともあり、前年の事業を踏襲する従来のやり方では進められなくなりました。
 
コロナ禍を経て、「本当に必要な事業」を選別する動きも増えました。保護者の負担を軽減するためにもPTAの事業のスリム化、効率化を図り、本当に必要な事業だけに絞る、負担が大きく必要性の高くないと考えられる事業は廃止するなど、それぞれのPTAが試行錯誤しています。
 

まとめ

それぞれのPTAで、会費を子どもたちのために有効に活用しようと試行錯誤しています。PTAの第一の目的は、学校に通う児童が安心・安全に充実した学校生活を送ることができるようにすること。PTA活動は「できる人が、できるときに、できることをやる」というスタイルが理想だと思います。PTAに加入し、会費を出しているだけでもPTA活動に貢献している、ともいえます。
 
いくら子どものためとはいえ、つまらない活動や「これって意味あるの?」と思う活動に参加したくはないでしょう。それは大人も子どもも一緒です。子どもの笑顔が見たい、そう思う気持ちで取り組んでいただきたいと思います。
 
PTA活動に参加する保護者も楽しみながら活動できればより意義のある活動になると思います。
 
参加した保護者の方たちから、最初は「面倒くさい」「荷が重い」と思っていたものの、やってみたら楽しくてあっという間だった、という声もよく聞かれます。筆者もPTA会長として子どもたち、学校、地域との関わりを持ち、子どもたちもその姿を見て、将来「うちのパパはPTAで子どもたちのためにいろいろ頑張った」と思ってもらえるとうれしいと思っています。
 

出典

公益社団法人日本PTA全国協議会 ホームページ
 
執筆者:西山広高
ファイナンシャル・プランナー(CFP®)、上級相続診断士、宅地建物取引士、宅建マイスター、西山ライフデザイン代表取締役

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