息子は大学進学後月5万円の「給付型奨学金」を受ける予定ですが、年収に含まれないですよね? また、親の扶養から外れないようにするには年間いくらまでアルバイトをしてOKなのでしょうか?

配信日: 2024.11.13

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息子は大学進学後月5万円の「給付型奨学金」を受ける予定ですが、年収に含まれないですよね? また、親の扶養から外れないようにするには年間いくらまでアルバイトをしてOKなのでしょうか?
大学進学費用は、教育費のなかでも大きな金額となります。子どももアルバイトなどで収入を得ることがありますが、収入を得すぎてしまうと扶養の範囲から外れ、所得税などの負担が大きくなってしまうことがあります。
 
また、給付型奨学金は返済不要ですが、これは収入とみなされるのでしょうか? 奨学金を受け取りながら扶養で居続けるための収入は、いくらまでとすればよいのでしょうか?
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

現役大学生の該当する可能性のある「扶養制度」は?

扶養制度には、主に「所得税上の扶養」と「健康保険上の扶養」の2つがあります。
 
現役で進学した場合、所得税上の扶養は19歳以上23歳未満の「特定扶養親族」に該当し、親は63万円の所得控除を受けることができます。
 
健康保険上の扶養は、親が協会けんぽや組合健保に加入している場合に該当し、被扶養者である子ども健康保険料の負担なしで健康保険を利用することができます。
 
いずれも被扶養者には所得要件があり、一定以上の収入を得ていると扶養から外れてしまいます。
 
扶養から外れると、親の税負担の増加や、子ども自身も健康保険に独自に加入することになるので健康保険料の負担が発生し、かえって手元に残るお金が減ってしまうおそれがあります。
 

扶養から外れない年収は?

扶養内で働く場合、所得税上の扶養の収入要件は給与収入では「年収103万円以下」になります。103万円以下であれば給与所得控除55万円と基礎控除48万円が差し引かれ所得が0円になるためです。なお、子どもが非課税となるかどうかについては、大学生であれば、勤労学生控除27万円の所得控除も適用されるので130万円まで非課税となります。
 
健康保険上の扶養は、加入している健康保険組合によって異なりますが、例えば、協会けんぽは「年収130万円未満」が収入要件の一つとなっています。
 

給付型奨学金は年収に含まれる?

給付型奨学金は返済不要ですが、収入に含まれるのかについて、所得税では年収に含まれず確定申告も必要ありません。
 
一方、健康保険では加入している組合によっては年収に含まれ、扶養から外れてしまうことがありますので注意が必要です。
 
扶養の収入要件が130万円未満で給付型奨学金が年収に含まれる場合は、仮に毎月5万円の給付型奨学金を受け取るのであれば、年収は70万円未満とする必要があります。
 

別居か同居かで扶養の収入要件は異なる

健康保険上の扶養の場合は、扶養を受けるには世帯主と家計を一つにしている必要があります。
 
同居の場合は、各健康保険組合が設定している年収要件まで収入を得ることができますが、下宿などで子どもが別居している場合は、世帯主が仕送りを行わないと別世帯とみなされてしまいます。また、仕送りの額も子どもの給与収入よりも多くする必要があります。
 

まとめ ~各扶養制度から外れてしまった場合の負担はどれくらい増える?~

所得税と健康保険の2つの扶養制度は、扶養者に収入要件が設けられています。給付型奨学金を受けつつアルバイトも行う場合、親の加入する健康保険組合によっては返済不要の給付型奨学金の給付金が収入とみなされることがあるので注意が必要です。
 
もし扶養から外れてしまった場合、扶養に入れていた親の所得控除がなくなるため、親の所得税が負担増となり、子どもも健康保険の保険料を負担することになります。
 
所得税の負担は所得によって異なりますが、仮に税率が20%とした場合は12万6000円の負担増となります。
 
子どもが国民健康保険に加入する場合は、居住地と年収などによって負担額が異なりますが、例えば、東京都板橋区では年収130万円で単身世帯として国保に加入すると、その保険料は年額約10万2000円になります。
 
アルバイトによって扶養を外れてしまうほど収入を得てしまうと、手元に残るお金が少なくなってしまうことがあります。親・子どもの双方が収入状況をしっかりと把握していくことが大切です。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 家族と税
国税庁 No.1175 勤労学生控除
全国健康保険組合 協会けんぽ 被扶養者とは?
国税庁 No.2260 所得税の税率
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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