更新日: 2019.01.08 その他暮らし

病院のかかり方ひとつで差が出る医療費

病院のかかり方ひとつで差が出る医療費
健康に気をつけてはいても、誰にも起こりうるのが病気やケガ。病院のお世話になるときは突然にやってきます。身体の調子がすぐれないときだけに、何も考えず病院の窓口でお支払いをしてしまっているかもしれませんが、あらかじめ知っているか知らないかだけで、払うお金に大きく差がついてしまうのが病院でかかるお金なのです。
福島えみ子

Text:福島えみ子(ふくしま えみこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。

http://mdtheory.co.jp/

どこの病院で診てもらうかでお金が違う!?

「体調がおかしい」と病院にかかろうとしたときの行き先によって、病院に支払うお金が大きく違うとすればどうでしょうか?

たとえ、ほぼ同じ内容の医療を受けたとしても、病床が500床以上のいわゆる大病院(*1)に紹介状なしでかかると、初診時に5,000円以上の特別料金を払う必要があります。しかも5,000円は最低金額で、その金額は個々の病院で決めることができますから、5,000円を超えた金額になることもあるのです。なお、再診の場合も2,500円以上の特別料金がかかります。

例えば、風邪で熱が急に上がったために職場の近くの大病院に何の気なしにいってしまえば、少なくとも5,000円も払わなくてもよかったかもしれないお金が出ていってしまうわけです。また、この制度は平成28年4月からのスタートです。久しぶりに病院に行くという方は、前とは事情が違っていますので要注意です。

*1:この初診時の特別の料金がかかる大病院は、

  • 特定機能病院
  • 一般病床数500床以上の地域医療支援病院をいいます。

 

一般病床200床以上500床未満の病院については、特別の料金を求めるかどうかは病院の任意となっています。あらかじめ自分が行こうとする病院の料金をウエブサイトなどで見ておくことをおすすめします。ただ、いざ病気になってからだと調べる気力も出てこないかもしれませんから、普段から、近くの病院はどうなのか?を調べておきたいものです。

また、こうした大きな病院ではかかってしまう特別料金の初診料も、近くの診療所でかかれば通常の初診料だけですみます。体調がおかしいと思ったら、まずはかかりつけ医の診察を受ける習慣をつけておいたほうがよいでしょう。

病院に行く時間帯が違えばお金が違う

急病のときにがまんする必要はありませんが、つい忙しくて病院の診療時間外の深夜の時間帯や休日に病院に行くことになってしまうという人もいるかもしれません。そういった人は、普通の診察時間に行くよりも高い診療費を払うことになりかねません。これらの時間帯の診察には特別料金が加算されていることがあるからです。

その特別料金は、「時間外加算」として、通常の時間外のほか、深夜や休日で料金が違います。「深夜加算」は22時から翌朝6時までの受診のとき、「休日加算」は、日曜・祝日・年末年始の受診のときに加算されます。そして、その料金はというと、深夜は4,800加算、休日は2,500円加算、その他平日の時間外加算は850円です。病気やケガは何も診療時間だけを選んで起こるわけではないといっても、時間内に足を運べるならそれがベストです。

薬を選択するだけでお金が違う

ここまでは病院で診察を受ける場合のお話でしたが、今度は、その後出される薬の選び方でも支払うお金が違ってきます。それが「ジェネリック医薬品」という選択です。その存在は、ずいぶん私達の間に浸透してきた感がありますが、あらためてジェネリック医薬品とは何かを確認しておきましょう。

一般に薬は長い研究や実験の後に製造販売が承認され、開発した会社が独占で製造・販売しますが、特許期間が終了して他の会社も製造・販売が可能となった薬が「ジェネリック医薬品(後発医薬品)です。ゆえに、研究開発費がかからない分、価格は安くできます。どれくらい安いかといえば、先発医薬品と較べて4~5割です。(厚生労働省資料より)安くて同じ機能をもつなら、選択肢のひとつとしておくのもよいのではないでしょうか。

公的制度を使うか使わないかでお金が違う

このように、病院のかかり方や選び方で医療費が違ってくるというお話をしましたが、で、一番家計へのダメージが大きいのが、医療費が一度に大きくかかってくる場面です。そういった場合に覚えておきたいのが、「高額療養費制度」です。これは医療機関に払ったお金が月に「一定額」を超えれば、超えた分は負担しなくてよい制度です。「一定額」がいくらなのかは、年齢や所得によって異なります。また、条件を満たせば家族の医療費の合算も可能です。

この高額療養費制度が使えたはずなのに、使えるのを知らなかった、使いそびれてしまった場合、医療費に大きな差がついてきます。まずはその存在だけでも知っておきたいところです。

そして、医療費の究極の節約方法は、なんといっても医療費を使わず健康であること。普段から身体をいたわって健康を心掛けたいものです。

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