ジェネリック医薬品があるのに、先発医薬品を希望すると薬価が割り増しになるって本当ですか?
配信日: 2024.11.18
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
そもそもジェネリック医薬品とは?
新しい医薬品は、膨大な時間と莫大な費用をかけて開発されます。こうした先発医薬品を開発した企業は、一定の期間、特許によって独占的に販売することができます。
そして、特許の期間が切れると、先発医薬品を開発した企業以外でも製造して販売することが認められます。これが、ジェネリック医薬品です。ジェネリック医薬品は「特許切れの医薬品」ともいわれています。なお新しい医薬品を先発医薬品または新薬といい、ジェネリック医薬品は後発医薬品ともいいます。
ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分を使っており、品質、効き目、安全性について試験の合格と厚生労働大臣の承認が必要です。また販売には国の基準や法律に基づく必要があります。しかし、先発医薬品とは異なり、膨大な時間と莫大な費用を要していません。
こうしたことから、ジェネリック医薬品は先発医薬品に比べると、安く販売できます。厚生労働省がジェネリック医薬品を推奨するのは、医療費の負担を抑えるためだと考えられます。
そもそもジェネリック医薬品があるのに、先発医薬品を希望すると……
2024年10月から、ジェネリック医薬品があるお薬なのに、先発医薬品を希望すると「特別の料金」が加算されます。特別の料金は、先発医薬品とジェネリック医薬品の価格差の25%相当です。
例えば、先発医薬品が1錠当たり100円だったとします。一方、ジェネリック医薬品が1錠当たり60円だった場合、その差額は100円-60円=40円になります。40円の25%は10円です。この10円は健康保険の対象外です。しかも、この特別の料金には消費税が加算されます。
これまで、健康保険の対象の治療費には10円未満はありませんでしたが、これによって、特別の料金には1円単位の支払いもあり得るのです。
まとめ
先述のとおり、特別の料金は健康保険の対象外ですから、当然、高額療養費も対象外です。ジェネリック医薬品は、新発医薬品と同じ有効成分を使っていますが、有効成分以外の添加剤が異なる場合があります。
そのため「ジェネリック医薬品では心配なので、どうしても新発医薬品を服用したい」という声を聞いたことがあります。そういう方は、ただでさえ高い新発医薬品に、さらに特別の料金が加算されてしまい、医療費の負担がますます高くなってしまいます。
一方、ジェネリック医薬品でも、新発医薬品と同じ添加剤を使用し、新発医薬品と同じ製造工場で作っているものもあります。オーソライズド・ジェネリック医薬品と呼ばれています。お薬に対する不安を解消しつつ、医療費の負担を少しでも抑えるために、薬剤師と相談してみるとよいでしょう。
出典
日本ジェネリック製薬協会 一般の方向け情報 ジェネリック医薬品とは
厚生労働省 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について
武田テバ薬品株式会社 オーソライズド・ジェネリック(AG)をご存知ですか?
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役