更新日: 2024.12.04 その他暮らし
雪道を自転車で走る祖父…「慣れているから問題ない」というのですが、安全面や法律的には問題ないのでしょうか?
今回のケースでは、雪道で自転車走行をする祖父を心配した相談者の声が寄せられていますが、当の本人は運転に自信があるようです。
本記事では、雪道での自転車走行について、安全性や法律上の観点から解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
雪道・凍結道路での自転車運転にはリスクがある
雪道や、雪に含まれる水分が凍結するなどして発生するアイスバーンでは、一般的に転倒リスクが高くなるでしょう。雪道を自転車走行することでどれくらいの交通事故が発生するか一概にはいえませんが、雪道での自転車走行に注意を呼びかける自治体は少なからず存在します。
雪が関係して死亡や負傷に至ったと思われる事故も起きています。ある男性は自転車ごと道路わきの側溝に転落し亡くなりましたが、警察は雪道でタイヤがスリップしたことが原因と考えているようです。また、ある女性が積雪路面で運転していた際、自転車が転倒し、後部の幼児用補助シートに乗っていた女児が路上に投げ出されて対向車にはねられる事故も起きました。
このように雪道や凍結道路では正常な自転車の運転ができない可能性が高く、安全上のリスクは常にあるといえます。
法律的に雪道走行は可能?
自転車は、道路交通法では「軽車両」に位置づけられています。そのため雪道での走行について何かしら規則や罰則が定められていると思う人もいるでしょう。
しかし自転車の雪道走行に関する具体的な規則や罰則は、自動車に対するようには定められていないようです。青森県弘前市のX公式アカウントでは、自転車の雪道走行は危険があるため避けるように注意喚起しているものの、「どうしても運転しなければならないときがあれば対策を講じること」としており、運転の可能性に言及しています。
この点を踏まえると、雪道を走行したところで法令違反を犯しているとはいえないでしょう。
事故の加害者になる可能性を考慮すべき
雪道走行をして負傷したとしても、本人の問題のみであれば自己責任の範囲といえます。しかし、誰かに被害を及ぼしてしまうと話は別です。
安全運転義務に違反する可能性も?
道路交通法第70条によると、車両などの運転手は車両などの安全性を確保して、他人に危害を及ぼさない方法で運転する義務があります。
雪道走行はその危険性が一般的に知られています。仮に事故を起こして当該義務に違反したと見なされた場合、懲役や罰金に処せられるかもしれません。
損害賠償に発展するおそれもある
自転車走行で相手に大きなけがを負わせたり死亡させたりすると、多額の賠償金命令が下されるおそれもあります。雪道走行の話ではありませんが、かつての判例では数千万円以上の支払いが命じられたケースもありました。
危険がある雪道で無理して走行した結果、スリップして人や物にぶつかってしまうと、状況によっては思ってもみない甚大な被害になるかもしれません。
乗らざるを得ない場合は十分な対策をしよう
路面状況や交通量、移動先などにもよりますが、もし自転車以外の交通手段がある場合は、安全面から自転車に乗らない方がよいかもしれません。
しかしやむを得ず乗る場合は、以下のような対策を講じられます。
・タイヤチェーンを装着する
・十分に速度を落としてゆっくり走行する
・交通量が多い場所では手で押して歩く
自転車での雪道走行は可能だが安全上のリスクあり
自転車で雪道を走行することは法律的に問題とはならないと考えられます。とはいえ安全上のリスクは多分にあるため、可能であれば避けた方が賢明かもしれません。
自身の安全はもちろん、加害者となって大きなトラブルに巻き込まれないためにも、安全を心がけた自転車の使い方をしましょう。
出典
e-Govポータル 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号) 第四章 車両等の運転者及び使用者の義務 第一節 運転者の義務 第七十条(安全運転の義務)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー