更新日: 2024.12.05 キャッシュレス

バスで「現金」が使えなくなる時代も近い⁉今月から「完全キャッシュレス」の路線が誕生するって本当?

バスで「現金」が使えなくなる時代も近い⁉今月から「完全キャッシュレス」の路線が誕生するって本当?
公共の乗合バスに乗ったことがある人は、支払時に精算ボックスへ硬貨を入れた経験があるかもしれません。一般的に公共のバスでは、支払い方法として現金やキャッシュレスサービスが利用可能ですが、現在政府は「完全キャッシュレス化」のための実証運行を進めています。
 
本記事では、バス料金の支払い方法をめぐる業界の動向について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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国土交通省が「完全キャッシュレスバス」の実証運行を進めている

国土交通省は2024年11月以降、完全キャッシュレスバスの実証運行を進めています。従来の現金支払いにかえて、今後は交通系ICカードやクレジットカードのタッチ決済、2次元バーコードなどを決済手段として推進したい考えのようです。
 
そこで利用者が限定的な路線や観光路線、キャッシュレス決済比率が高い生活路線、ほかの社会実験を同時に行う路線などを対象に、18事業者29路線にて2024年11月から順次実証運行を開始しました。
 

実証運行が取り決まった背景

この取り組みが行われている背景には、以下のような事情があります。
 

・深刻なバス運転者不足
・9割近くが赤字事業者

 
バスの運転者が1万人不足しているという推計があるほか、事業者の廃業や路線の減便が生じており、インフラとしてのバスネットワークに不安要素が出ています。
 
そのため政府は、事業者の経営改善や負担軽減などを図るために、完全キャッシュレス化を進めることが効果的とし、まずは完全キャッシュレスバスの実証運行を進めることとしました。試算では、主要なバス事業者において、完全キャッシュレス化が全て実現した場合、年あたり約86億円の経営改善効果があるとされています。
 

完全キャッシュレスバスの例

政府によって選定されたバス会社および路線として、例えば東急バス株式会社は、2024年12月1日より「渋谷駅~代官山循環」路線における完全キャッシュレス化を開始しています。この路線で使用できる決済手段は、交通系ICカード、非接触型のクレジットカード、2次元バーコードなどです。
 
なお完全キャッシュレスバスの実証運行をしている事業者は、関東や東海、中国、四国、九州、沖縄など多地域にわたります。
 

完全キャッシュレス化による生活への影響はある?

ふだんからよく乗合バスを使う人の場合、多少影響が出る可能性があります。例えば、これまでずっと現金で決済してきたのであれば、キャッシュレス決済に対応する必要があります。
 
交通系ICカードやモバイル端末などを新たに入手しなければならないかもしれず、最初はいくぶん面倒に感じるかもしれません。また事業者によってはキャッシュレスシステムの導入が急がれることも考えられます。
 
しかし大部分の乗客や事業者にとっては大きな変化はないかもしれません。国土交通省によると、主要なバス事業者におけるキャッシュレスの導入割合は92.3%に達しています。また決済比率はキャッシュレスが88.4%です。
 
つまり現状では、主要なバス事業者の多くがキャッシュレスに対応でき、かつ乗客もキャッシュレス決済に慣れてきていることが分かります。
 

キャッシュレス決済に切り替える乗客のメリット

現金払いからキャッシュレスに変えると、以下のようなメリットを感じられる可能性があります。
 

・硬貨の両替や現金の手持ちを心配しなくてよい
・素早く決済してほかの乗客に迷惑をかけにくい
・キャッシュレス事業者のポイントが貯まる

 
例えばクレジットカードで決済することで「200円につき1ポイント」など付加価値を得られるケースがあります。キャッシュレスならではのお得感があるため、一度キャッシュレス決済へのシフトを検討してみてもよいでしょう。
 

完全キャッシュレスバスは一部実証運行がされている

国土交通省の主導でバスの完全キャッシュレス化が進んでいます。しかし、現金がすぐに使えなくなるわけではないようです。従来通り現金払いを続ける事業者もしばらくは残ると考えられます。
 
とはいえ全国的に行われている完全キャッシュレス化は実証運行段階にあり、結果次第で今後バスネットワークの拡充が進む可能性があるでしょう。
 

出典

国土交通省 完全キャッシュレスバスの実証運行について
東急バス株式会社
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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