市役所の問い合わせ窓口は「ナビダイヤル」。通話料がかかるのになぜ導入されるのでしょうか?
配信日: 2024.12.08
なぜ市役所の問い合わせ窓口で無料の番号ではなく、有料のナビダイヤルが選ばれているのかについて、本記事では、その背景や理由、市民への影響についてまとめました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ナビダイヤルとは?
ナビダイヤルは、NTTコミュニケーションズ株式会社が提供する電話サービスで、番号は0570を使用します。この番号は、全国どこからかけても一定の通話料金で利用可能です。そのほかにも、以下のような特徴があります。
・0570は全国統一番号であり、通話料は発信者が負担する
・着信先の電話番号を非公開にできる
・複数の拠点に同時に着信可能
・自動音声による通話の振り分けが可能で、業務を効率化できる
・通話データ分析が容易
通話料は一般回線からは3分で8.5円(税込み9.35円)、携帯電話からは20秒で10円(税込み11円)です。
ナビダイヤルを導入する理由
ナビダイヤルは、企業や団体がサービスを効率的に提供するために広く利用されていますが、市役所のような公共機関での導入には賛否両論があります。市役所が導入する理由として、以下のようなものが考えられます。
・問い合わせの一元化
・コスト削減
・電話応対業務の効率向上
・災害時の対応強化
・データ分析による業務改善
ナビダイヤルは一つの番号で全国から問い合わせを受けられるため、利便性が向上し、組織側も問い合わせの管理を効率化できるでしょう。また、従来の固定電話回線やそのほかのサービスと比較して、通信費の負担が軽減されます。
さらにナビダイヤルには、着信を複数の部署や窓口に振り分ける機能があります。市民からの問い合わせを適切な担当者に効率よく転送でき、待ち時間の削減につながるでしょう。
この機能は災害時にも役立ち、別の場所にある臨時の窓口に転送することが可能です。もし、市役所が災害などで被災した場合でも、問い合わせ対応ができます。
ナビダイヤルには着信数や通話時間などのデータを収集する機能もあり、データを分析することで、市民の要望をくみ取り、業務改善に生かすことも可能です。
ナビダイヤル導入の課題と対策
市役所が問い合わせ窓口をナビダイヤルにした場合、最も大きな課題は、市民が通話料を負担しなければならない点です。回答を待つ間も通話料が発生し、携帯電話の「かけ放題プラン」の対象外になっていることが多いナビダイヤルは、長時間の問い合わせや頻繁に利用する必要がある場合、市民の負担が大きくなってしまうでしょう。
また、とくに高齢者にとっては、システムや通話料のしくみが分かりにくかったり、通話料の負担が大きくなったりするかもしれません。
以上のことから、公共性の高い施設がナビダイヤルにする際は、誰にでも分かりやすい資料を作成し、通話料がかかることを事前に説明したり、場合によっては無料の番号を併設したりなどの対策が必要となると考えられます。
ナビダイヤルはサービス向上や業務効率化を図るために導入されている
市役所のナビダイヤル導入は、行政側のコスト削減や業務の効率化といったメリットがある一方で、通話料の負担などの課題も抱えています。代替手段の提供や、高齢者への配慮など、きめ細かな対策が必要といえるでしょう。
どのようなシステムを導入する場合でも、誰でも平等に行政サービスにアクセスできる環境を整えることが大切です。
市役所などの公共性が高い施設は、地域社会の基盤です。ナビダイヤルの利点を生かしつつも、不公平ではない窓口の実現が望まれます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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