10年以上音信不通だった母から生活保護の「扶養照会」が届きました。親子関係にある以上やはり支援したほうがよいのでしょうか?
配信日: 2024.12.12
扶養照会がきて支援を悩むときは、相手の状況を一度調べてみることも方法のひとつです。今回は、扶養照会の概要や音信不通だった親相手でも支援した方がよいのかなどについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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扶養照会とは?
生活保護では、申請をする前に原則として以下を行っている必要があります。
●預貯金や保険の解約金、不要な家屋の売却などで資産を活用している
●就労できる状態なら働いている
●年金や児童手当など活用できる制度は申請している
●親族からサポートを受けられるなら支援してもらう(扶養義務者の扶養)
そこで、自治体の担当部署では生活保護の申請を受けた際に、保護の決定のために、本当にこれらを実施しているのか調査を実施するケースがあるのです。4つ目の親族からのサポートを受けられるか調べる際に実施される調査が扶養照会です。
扶養義務者について、民法第877条第1項では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。
また、第877条第2項では「家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」と定められているため、生活保護では最大3親等内の方に扶養照会が行われる可能性があるといえるでしょう。
扶養照会の内容
扶養照会がなされると、該当する方にはどこまで支援できるかや世帯構成などを尋ねる書類が送付されます。具体的な記載内容の例は、以下の通りです。
●精神面でのサポートの可否
●金銭面でのサポートの可否
●各支援を始められる時期
●具体的なサポート内容や頻度
●金銭的サポートなら金銭や物品の送付額や程度など
●緊急連絡先
●扶養照会された方の家族構成
●資産状況
●負債状況 など
もし相手を支援できるのであれば、支援内容の「可」に丸をつけ、できることを記載すれば問題ありません。また、それぞれに可否を記載するところがあるので、精神面だけ、あるいは金銭面だけでのサポートも可能と考えられます。
長年音信不通だった相手でも支援した方がよい?
扶養照会の紙が届いたからといって、必ずしも支援する必要はありません。厚生労働省によると、生活保護を申請している方との特別な事情により、明らかに扶養できない方は「扶養義務履行が期待できない者」として扱われる可能性があります。
特別な事情とは、当人同士で借金をしていたり相続などが原因で対立したりといったほかにも、10年程度音信不通で交流が断絶状態にある場合も対象としています。今回のケースだと、10年以上音信不通なので、扶養義務は履行できないと判断される可能性があります。
支援を断ったとしても、申請をした方は要件を満たしていれば生活保護の利用が可能です。もし扶養照会がきて支援をするか悩む場合は、まず母親の状況を詳しく調べてから判断しましょう。年金の受給状況のほかにも病気の有無やなぜ生活保護を申請するに至ったかまで調査すると、扶養照会に書かれていること以外にもサポートできることが見つかるでしょう。
支援を断りたい場合は断っても問題はないと考えられる
扶養照会とは、生活保護申請時に親族などで支援をしてもらえる人物がいないかを調べることです。扶養照会により書類が送付されたときは、自分がどれだけ支援できるのか、あるいは支援できないかを記載して提出しましょう。
なお、10年以上音信不通であるときは、扶養義務者として判断されない可能性もあります。もし長年音信不通だったことを理由に支援を断りたいときは、書類にその旨を書いて返送すれば問題ないでしょう。
音信不通だった母親でも何か助けたいと感じるときは、まず生活保護申請に至った経緯や現在の状況などをできる範囲で調べてみることがおすすめです。扶養照会の内容以外でも、支援できる内容が見つかる可能性があります。
出典
e-Govポータル法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第四編 親族 第七章 扶養第八百七十七条(扶養義務者)
厚生労働省 扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について 3 扶養義務履行が期待できない者の判断基準(3ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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