高齢の母が病院で「マイナ保険証」の受付操作ができず、10割負担で「4000円」の支払いを求められたとのこと。機械の操作が難しいなら「資格確認書」だけ使うべきでしょうか?
配信日: 2025.01.11
特に高齢の人は、受付操作に戸惑ってしまうことも多いでしょう。本記事では、マイナ保険証の概要や受付操作ができなかった場合の対応について解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
マイナ保険証とは?
マイナ保険証とは、マイナンバーカードに健康保険証の機能をひも付けたものです。これを使うことで、病院の受付に健康保険証を出す必要がなくなります。また、薬や特定健診の情報が一元管理されるため、過去の処方履歴を確認できるなどの利点もあります。
そのほかにも、高額療養費制度を利用するための申請がいらなくなったり、引っ越しをしてもマイナンバーカードの住所変更手続きをすれば健康保険証の変更手続きが不要になったりするなど、さまざまな利点があります。
マイナ保険証の利用は難しい?
マイナ保険証を利用する際には、病院側が設置しているカードリーダーを使って操作する必要があります。具体的な流れは次のとおりです。
1.マイナンバーカードを読み取り口に置く
病院の受付に設置されている専用のカードリーダーにマイナンバーカードを読み込ませます。カードリーダーによって設置する向きが異なるので注意が必要です。
2.本人確認を行う
マイナンバーカードの持ち主本人であることを確認するため、次のいずれかの操作が求められます。
●暗証番号の入力:カードに設定した4桁の暗証番号を入力します。
●顔写真認証:マイナンバーカードに登録された顔写真データを使い、顔認証カメラに顔を向けて本人確認を行います。カメラの位置に合わせて顔を正しく向ける必要があります。
3.情報提供の可否を選択
医療機関や薬局が過去の健康医療情報を共有することに同意するかを選択します。
4.受付の完了
この時点で受付が完了し、病院のシステムに保険証情報が登録されます。
操作そのものはシンプルで、タッチパネルで簡単に行えます。しかし、初めての人やデジタル機器に不慣れな場合には「難しい」と感じることもあるかもしれません。また、「暗証番号を忘れてしまい、ロックがかかった」「カメラの位置が分からずエラーになる」といったさまざまなトラブルが想定できます。
マイナ保険証がうまく使えず10割負担になることもある?
実際に、マイナ保険証の連携不具合により、窓口で全額負担を求められるケースは少なくありません。全国保険医団体連合会が行った調査によれば、回答があった1万26の医療機関のうち、65.1%の医療機関でマイナ保険証やオンライン資格確認に関するトラブルが発生しており、そのうち23.5%の医療機関で一時的に全額負担を請求した事例が確認されています。
例えば、風邪などで受診して総医療費が4000円で3割負担の場合、本来であれば1200円で済むところ、保険情報の確認ができないと、いったん全額の4000円を請求されるのです。
しかし、現在では窓口での10割負担を避けるための対策が講じられています。例えば、初診時には被保険者資格申立書を記入することで、再診時に過去の受診時の資格情報を確認することで、全額負担を回避できます。
また、マイナンバーカードと健康保険証をひも付けた後、保険資格情報をスマートフォンにダウンロードすることも可能です。今回のように親が高齢であれば、事前に資格情報をダウンロードしておき、いつでも見せられる状態にしておくと良いでしょう。
安心してマイナ保険証を使うために
2024年12月2日から、医療機関ではマイナ保険証の利用が原則となりました。専用の機械を操作しなければならないため、特に高齢の人にとっては難しいかもしれません。場合によっては保険資格を確認できず、全額払わなければならないこともあります。
ただ、現在は10割負担を避けるための方法がたくさんあるため、そこまで心配し過ぎることもありません。病院のスタッフに利用方法を聞きながら、マイナ保険証の利用に徐々に慣れるようにしていきましょう。
出典
デジタル庁 マイナンバーカードの健康保険証利用の本格運用がスタートしました
厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用方法
全国保険医団体連合会 5月以降のマイナ保険証トラブル調査(1万2700医療機関) 88%が保険証「存続を」 トラブル70%が経験
執筆者:山田麻耶
FP2級