近所の方が「生活保護」を受けていると聞きました。どのような人が生活保護を受けられる条件を満たしているのでしょうか?
配信日: 2025.01.14
本記事では、生活保護の基本的な仕組みや受給条件、申請の流れについて解説します。生活保護について正しく理解することで、必要な支援を受ける際の参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生活保護とはどんな制度?
生活保護は、日本国憲法第25条に基づき、最低限度の生活を保障するために設けられた福祉制度です。厚生労働省が管理し、市区町村が窓口となっています。この制度では、生活に必要な費用が十分でない場合、その不足分を補うための現金や医療サービスが提供されます。
生活保護は、次の8つの扶助で構成されています。
・生活扶助(生活費)
・住宅扶助(家賃)
・教育扶助(学用品など)
・医療扶助(医療費)
・介護扶助(介護サービス費)
・出産扶助(出産費用)
・生業扶助(就労支援費)
・葬祭扶助(葬儀費用)
生活保護を受けるための条件と基準
生活保護は、生活に困窮する方が最低限度の生活を保障されるための制度ですが、利用するためにはいくつかの基準を満たす必要があります。この基準は、公平性を確保し、本当に必要な方に適切な支援を届けるために設けられています。具体的には、以下のような条件が適用されます。
1. 資産の活用
預貯金や不動産、自動車などの資産は、生活費に充てることが求められます。ただし、居住用の持ち家については、保有が認められる場合があります。また、農業などの事業に使われる土地や賃貸に出すことで収入を得ている不動産も、売却しなくてよい場合があります。
2. 能力の活用
働くことが可能な場合、就労による収入を得る努力が必要です。健康状態や年齢などで就労が難しい場合は、このかぎりではありません。
3. 扶養義務者からの支援
生活保護法では、扶養義務者の扶養が生活保護に優先されると定められているため、親族など扶養義務者からの支援が期待できるかどうかが確認されます。ただし、同居していない親族に相談してからでないと申請できない、ということはありません。
4. あらゆるものの活用
年金や手当など、他の社会保障制度を利用できる場合は、まずそれらを活用することが求められます。
5. 収入の状況
世帯の収入が、厚生労働大臣が定める最低生活費を下回る場合、その不足分が生活保護として支給されます。最低生活費は、年齢、性別、世帯構成、地域などに応じて設定されています。
これらの条件を総合的に判断し、生活保護の適用が決定されます。申請にあたっては、お住まいの地域の福祉事務所に相談することが推奨されます。
具体的な申請の流れと必要な書類
生活保護を受けるには、市区町村の福祉事務所で申請を行います。一般的な手続きの流れは、以下のとおりです。
1. 相談
現在の生活状況について、福祉事務所で相談します。面接相談員が生活保護制度を説明し、他の社会保障制度の活用も検討します。
2. 申請書の提出
生活保護の申請書を記入し、必要書類を提出します。必要書類には以下のものがあります。
・マイナンバーカード(個人番号カード)または通知カード
・本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
・収入や資産を証明する書類(給与明細、通帳、年金証書など)
・家賃契約書や光熱費の明細
・健康保険証、各種手帳(身障手帳、精神手帳など)
・その他、生命保険証書、車検証、借金関係書類など(該当する場合)
3. 調査
福祉事務所が家庭訪問や収入調査を行い、受給資格を確認します。
4. 決定通知
申請から原則14日以内に、受給が認められるかどうかの通知が届きます。
生活保護の申請にあたって知っておきたいポイント
生活保護を申請する際には、制度の仕組みや手続きについて正確に理解しておくことが重要です。ただし、申請にはいくつかの注意点や知っておくべきルールがあるため、事前に確認しておくことでスムーズな申請が可能になります。
【申請は誰でも可能】
生活保護は生活が困難な状況にあり、日本に永住権がある人なら誰でも申請できます。ただし、申請が却下される可能性はあります。
【不正受給のリスク】
虚偽の申告や収入の隠匿は不正受給となり、返還義務や罰則が科されます。正確な情報を提供することが重要です。
【必要な支援を受けるために相談を】
生活保護に対する偏見や不安がある場合でも、まずは福祉事務所に相談してみましょう。ケースワーカーが、親身に対応してくれるはずです。
まとめ
生活保護は、生活に困窮する方々を支える重要な制度です。資産や収入の状況、就労の可能性、扶養義務者の支援状況など、受給のためには一定の条件を満たす必要がありますが、適切な支援を受けることで、生活を立て直すための第一歩を踏み出すことができます。困難な状況にある場合は、お住まいの地域の福祉事務所へ遠慮せずに相談しましょう。
出典
厚生労働省 生活保護制度
松山市 生活保護の手続きの流れ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー