高速道路が「無料」になる日が来るというのは本当?利用料は何に使われているのでしょうか?
この記事では、高速道路の無料化の可能性や、通行料金がどのように使われているのかについてまとめました。
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高速道路が無料になる日は来る?
高速道路は、これまでの計画では2065年(令和47年)までに建設などにかかった債務を返済し、その後は無料化される予定でした。しかし、政府は高速道路の更新・進化に必要な資金を確保するため料金徴収期間をさらに延長し、最長で2115年(令和97年)まで延長可能とすることを決定しました。
高速道路の無料化は長年議論されてきました。しかし、今の現役世代が、無料の高速道路を利用できるようになる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
無料化が難しい理由
高速道路の建設には莫大(ばくだい)な費用がかかります。そのため、建設費用を賄うために多額の借り入れをしており、返済資金に通行料金収入の一部が使われています。
また、完成後も補修やトンネルおよび橋梁(きょうりょう)の点検・補強、照明や標識の維持管理など、多大な費用が必要です。これらの費用は現状、通行料金収入で賄っています。
高速道路は、安全な走行環境を保つために定期的な改築が必要不可欠です。また、除雪や清掃作業などの業務も必要であり、業務を円滑に進めるためには、多くの人件費や資材費がかかります。
さらに、信号や事故防止のための標識、交通監視カメラなどの設備や、リアルタイムの交通情報を提供するシステム、渋滞情報を収集・分析するためのインフラなど、事故のリスクを減少させることを目的とした設備にも巨額の費用がかかります。
無料化した場合、これらの費用を税金で負担する可能性が高く、国民の理解を得ることは難しいでしょう。また、高速道路の維持管理に十分な税金を投入できるのかという財政的な問題もあります。
高速道路を無料化した場合、多くの人が高速道路を利用するようになることが予想されます。交通量が大幅に増加した結果、渋滞が慢性化し高速道路の利便性が損なわれる可能性があるでしょう。交通量の増加はCO2排出量の増加にもつながり、環境への負荷が増大する恐れがあります。
高速道路の利用者増によって一般道の交通量が減り、一般道沿いの店舗への経済効果が減少したり、鉄道や航空などの利用者減少につながったりする可能性も指摘されています。
高速道路には各種割引制度がある
高速道路の料金体系は、利用距離や区間に応じて料金が変動する対距離料金制が基本です。以下のような割引制度を活用することで、ある程度利用料金をおさえられるでしょう。
・ETC割引
・大口・多頻度割引
・特別区間割引
ETCを利用すると、時間帯や曜日によって、深夜割引や休日割引などの割引を受けられます。また、高速道路を頻繁に利用する事業者向けに、利用金額などに応じて通行料金が割引されたり、地域振興や観光促進を目的として特定の区間において料金が割引されたりする制度もあります。
高速道路の無料化は現状困難と言わざるを得ない。利用料は有効活用されている
高速道路の無料化は、現状では実現の可能性が低いといえるでしょう。高速道路の建設・維持には莫大な費用がかかり、通行料金はこれらの費用を賄う財源となっているためです。
高速道路の利用料は無駄に使われているわけではありません。通行料金は、債務の返済を始め、新たな道路の建設や改築などの維持管理、関連設備の整備などに使われています。
高速道路は、今後も不可欠なインフラであることは疑いようがありません。より安全で快適な高速道路利用のために、現状と課題を理解し、将来の高速道路のあり方について考えていく必要があるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
