世帯年収600万円です。子どもたちは2人とも「私立中学」を希望しているのですが、通わせるのは厳しいでしょうか?
配信日: 2025.02.04

そこで本記事では、私立中学校に進学するとかかる教育費の目安を紹介するとともに、年収600万円の世帯で子ども2人を私立中学校に入れることの可否を考えます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
私立中学に通う費用は公立中学の約3倍
私立中学に通うのに必要な1年間の費用の目安を確認してみましょう。文部科学省が実施した「令和5年度子供の学習費調査」の結果を見ると、中学校に通う子ども1人当たりの1年間の学習費は図表1のとおりです。
【図表1】
学校教育費 | 学校給食費 | 学校外学習費 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
私立中学校 | 112万8061円 | 9317円 | 42万2981円 | 156万359円 |
公立中学校 | 15万747円 | 3万5667円 | 35万6061円 | 54万2475円 |
※文部科学省「令和5年度子供の学習費調査 結果の概要」より筆者作成
学校教育費とは、学校の入学金や授業料、教材費、修学旅行費など、学校に通ううえで必要な費用です。学校外活動費は、塾などの補助学習や習い事などの費用をいいます。
学習費全体を比較すると、私立は公立の約3倍の費用が必要となる計算です。学校教育費だけを比較すると、差は7倍以上にもなります。学校教育費にこれだけ大きな差がつく大きな原因は、公立中学校ではかからない授業料がかかること、高額な入学金や学校納付金がかかることです。
私立中学校の学費は学校ごとに独自の金額が設定されているため、実際にはさらに高額な費用がかかることも考えられます。
高校も私立になることを前提に教育費を試算しよう
私立中学校はエスカレーター式の中高一貫校であることが多く、外部進学を選択する場合や素行や学業面に大きな問題がある場合を除いて高校も私立に通うことになります。そのため、私立高校の学費や兄弟それぞれが在学するタイミングも踏まえて、費用を工面できるかどうかを考えなければなりません。
文部科学省の同調査によると、私立高校に通う子ども1人当たりの1年間の学習費総額は約103万円(学校教育費:約77万円、学校外活動費:約26万円)です。中高の6年間では、子ども1人につき、約780万円の教育費を見積もっておく必要があります。
年収600万円で子ども2人を私立中学に通わせるのは厳しい! 解決策は?
世帯年収600万円で私立の中学校に子ども2人を通わせることは、現実的に可能なのでしょうか。
文部科学省の同調査によると、私立中学校の在学者に年収600万円未満の層がいないわけではありませんが、約13%と少数です。また、調査では子どもの人数までは考慮されていないため「子ども2人を通わせている」層となると、さらに少ないと考えられます。
兄弟2人の中学校在学時期が重なる場合、公立であれば1年間に100万円前後の教育費負担ですみますが、私立の場合は300万円前後の負担が発生します。年収の半分を教育費として費やす必要があると考えると、生活をかなり切り詰めなければならない可能性があるでしょう。
ただし、入学時にかかる入学金や学用品の購入費用などの大きな費用をあらかじめ2人分貯蓄しておく、各学校や自治体の支援制度を利用するなどの工夫ができれば、やりくりは不可能ではなくなります。
また、無理に中学校から私立に進学するのではなく、国の「高等学校等就学支援金制度」がある高校まで、私立進学を待つのもひとつの選択肢です。収入とのバランスや大学進学時に必要な費用の準備ができるかどうか、教育費以外に必要な子育て費用の試算なども含めて、ベストな進学ルートを検討しましょう。
収入と子どもの希望のバランスが取れる進学先を選ぼう
子どもを私立中学に通わせるには、公立と比べて多額の教育費が必要となります。子どもが私立に進学したいと希望しても、家計の状況によっては難しいこともあるでしょう。
必要な学費の目安や教育費の貯蓄計画、高校以降の進学の希望なども含めて、収支のバランスが取れる範囲内でベストな進学方法を検討することが大切です。
出典
文部科学省 結果の概要-令和5年度子供の学習費調査
文部科学省 令和5年度 子供の学習費調査 5 世帯の年間収入段階別,項目別経費の構成比
文部科学省 高校生等への修学支援
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー