子どもを「私立小学校」に通わせたい。「習い事」などにも行かせると、世帯年収「700万円」では難しい?

配信日: 2025.02.07 更新日: 2025.09.26
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子どもを「私立小学校」に通わせたい。「習い事」などにも行かせると、世帯年収「700万円」では難しい?
子どもを小学校から私立に通わせたいと考えているものの、学費を賄えるか心配な人もいるかもしれません。
 
義務教育の期間である小学校・中学校は、国公立であれば無償で通えます。しかし、私立の小学校・中学校にそのような補助はなく、保護者に負担が掛かります。世帯年収がいくらくらいの家庭であれば、無理なく通わせられるのか、気になる人もいるでしょう。
 
今回は、私立小学校に6年間通わせる場合の費用や、費用が足りない際の対処法をご紹介します。
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年収に占める教育費の割合

まずは、一般的な家庭がどの程度教育費を掛けているのか、年収に対する割合を確認します。
 
日本政策金融公庫の調査によると、世帯年収600万円以上800万円未満の家庭では、世帯年収に占める在学費用(世帯の子ども全員に掛ける費用の合計)の割合が平均15.5%となっています。この割合を世帯年収700万円に当てはめると、平均在学費用は108万5000円です。
 

私立小学校の進学で掛かる費用

108万5000円で私立小学校に通わせることはできるのか、考えてみましょう。教育費は、授業料などの「学校に掛かる費用」と、習い事代などの「学校外で掛かる費用」に大別されます。私立小学校に通わせた場合、それぞれどれくらいになるのかを確認します。
 

学校に掛かる費用

文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、私立小学校に通った場合の学校教育費は年96万1013円、学校給食費は年4万5139円でした。合計すると、年100万6152円になります。
 
公立小学校に通った場合の総額は年間10万4984円で、私立の約10分の1の額で通える計算です。
 
なお、私立小学校の学校教育費96万1013円の内訳で最も多いのは「授業料」(55.8%)、次いで「学校納付金等」(16.9%)「通学関係費」(10.9%)などです。授業に直接関係のない対象にも費用が掛かっていることが分かります。
 

学校外で掛かる費用

学校外では、習い事のほか、自宅学習、スポーツ・レクリエーション活動、体験活動などの費用が掛かります。
 
同資料によると、私立小学校に通う子どもに掛ける学校外活動の平均額は、年66万797円です。一方、公立小学校に通う子どもに掛ける平均額は、年24万7582円となっています。私立小学校に通わせている世帯の方が、学校外活動に多くの費用を掛けている傾向があると分かるでしょう。
 
なお、学校に掛かる費用と学校外で掛ける費用の合計は、年166万6949円です。世帯年収700万円の平均的な教育費108万5000円を、60万円近く上回ります。
 

世帯年収700万円では私立小学校に通わせられないのか

世帯年収700万円では、私立小学校に通わせられないかというと、そうではないと考えられます。表1は「令和3年度子供の学習費調査」を基に、私立小学校の親の世帯年収を表したものです。
 
表1

世帯年収 構成比
400万円未満 4.8%
400万円~599万円 6.5%
600万円~799万円 9.4%
800万円~999万円 13.3%
1000万円~1199万円 14.2%
1200万円以上 51.8%

※e-Stat政府統計の総合窓口「令和3年度 子供の学習費調査」を基に筆者作成
 
世帯年収700万円前後の世帯は9.4%、それより少ない世帯も合わせると20.7%になります。これを踏まえると、世帯年収700万円でも、子どもを私立小学校に通わせることは不可能ではないと考えられるでしょう。。
 

教育費が足りないときの対処法

教育費が足りない場合の対処法としては、生活費を見直して貯蓄を増やす、教育ローンを組むといった方法が考えられます。中には祖父母から孫の教育費として援助をもらえるケースもあるでしょう。その際は「贈与税の非課税制度」が役立つかもしれません。
 
通常、個人からの贈与により財産を取得した場合は贈与税が掛かります。「贈与税の非課税制度」とは、令和8年3月31日までに教育資金のために金銭を受け取った場合、そのうち1500万円までは、申告書を提出することで贈与税の支払いが免除される制度とされています。
 
ここでいう教育資金とは、学校に直接支払う金銭(入学金、授業料、試験の検定料、施設の設備費など)や、学校外で教育に掛かる金銭(塾費用など)を指します。なお、1500万円のうち500万円までは、塾など学校外の費用に充てることも可能なようです。
 

年収700万円でも私立小学校に子どもを通わせることは可能

子どもを私立小学校に通わせている家庭のうち、世帯年収700万円前後の世帯の割合は、9.4%です。また、700万円以下の世帯年収でも通わせている世帯もあります。そのため、家庭の状況によっても異なる可能性はありますが、世帯年収700万円でも、私立小学校に行かせることは無理ではないと考えられます。
 
ただし、世帯年収700万円の世帯の平均的な教育費は、108万5000円です。一方、私立小学校に掛かる費用は年166万6949円となっています。生活費を見直したり、祖父母から孫の教育費を援助してもらったりする必要があるかもしれません。
 

出典

日本政策金融公庫 子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します
e-Stat 政府統計の総合窓口 子供の学習費調査 / 令和3年度 子供の学習費調査 5 世帯の年間収入段階別,項目別経費の構成比
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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