遠方に住む祖母はお祝い事のたびに「普通郵便」で現金を送ってくれます。現金書留でなくても大丈夫なのでしょうか…?
配信日: 2025.02.08

しかし、もし現金をプレゼントとして郵送するときは、送り方に間違いがないか確認が必要です。今回は、現金を普通郵便で送れるのかや、現金書留以外の方法などについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
現金を普通郵便で郵送できる?
現金を郵送したいときは、必ず「現金書留」を利用しましょう。郵便法第17条により「現金又は郵便約款の定める貴金属、宝石その他の貴重品を郵便物として差し出すときは、書留(第四十五条第四項の規定によるものを除く。)の郵便物としなければならない」と定められているためです。
普通郵便は書留ではないため、もし普通郵便で現金を送ると郵便法に違反することになります。また、現金のほかにも宝石や一部貴金属なども書留での郵送が定められているため、プレゼントとしてアクセサリーを送るときは注意しましょう。
現金書留はいくらかかる?
日本郵便株式会社によると、現金書留の利用料金は通常の郵送料金に加えて480円です(損害要償額1万円まで)。さらに、損害要償額が5000円増えるごとにプラス11円かかります。損害要償額の上限は50万円までです。
例えば、以下の条件で現金を送ったとしましょう。
●50グラムまでの定形郵便物
●20万円を現金書留で郵送
条件を基にすると、合計で1008円の利用料金の支払いが必要です。
現金書留では郵送中に万が一破損や紛失などがあった場合に賠償してもらえる制度があります。賠償範囲は、申し出をしていれば上限額までの範囲で送った金額と同額です。ただし、申し出をしないと現金は1万円までが賠償範囲になるため、もしもに備えたいなら郵送時点で送金額と同額の「損害要償額」申請をして追加料金を払っておきましょう。
現金書留をわざと利用しなかったときにペナルティーはある?
郵便法第17条を守らなかったことに対して、直接的な罰則は設けられていません。しかし、意図的に現金書留を利用せず、通常の郵便として送っていた場合には罰則の対象になる可能性もあります。
郵便法第84条では「不法に郵便に関する料金を免れ、又は他人にこれを免れさせた者は、これを三十万円以下の罰金に処する」と定められているためです。もし意図的に現金書留を利用していないことが発覚すると、送った金額よりも多額の罰金の支払いが必要になる場合があります。
罰金の対象にならないためにも、現金は必ず現金書留を利用するように伝えましょう。
祖母が現金書留を使いたがらないときの対応方法
祖母がどうしても現金書留を利用したがらないときは、現金書留以外の手段で送ってもらうことも検討しましょう。
例えば、お互いの口座番号を知っているなら口座間で送金をすると、手数料は現金書留より安く済むかもしれません。封筒で現金を送ると入れる枚数を間違える場合がありますが、口座間でのやり取りなら送る金額を間違える可能性も低くなるでしょう。
また、口座番号をお互いに知らなかったり、どうしても郵送形式で送りたかったりするときは郵便局の「普通為替」サービスも選択肢のひとつです。為替サービスでは、送金額に手数料を加えて申し込むと、普通為替証書が発行されます。それを相手に送ることで、受け取った方が自身の近くにある郵便局で現金と引き換えることができます。
証書は現金ではないため普通郵便での郵送が可能です。受け取った方が実際に証書を交換するときは、本人確認ができる書類を用意しておきましょう。なお、株式会社ゆうちょ銀行によると、普通為替証書の発行には送金額5万円未満まで1枚550円、送金額5万円以上で1枚770円の手数料がかかります。送金額は1枚につき10万円以下です。
現金は普通郵便では送らない
郵便法により現金は書留での郵送が定められています。意図的に普通郵便で送り続けていると、不法に郵便料金を免れようとしているとして罰金の対象となる可能性もあるため、やめましょう。
どうしても書留で送りたくない場合は、口座間での送金や普通為替を利用して証書を送る方法などがあります。祖母とよく相談して、使いやすい手段を利用するとよいでしょう。
出典
e-Govポータル法令検索 郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号) 第二章 郵便の役務 第一節 郵便物 第十七条(現金及び貴重品の差出し方)、第五章 罰則 第八十四条(料金を免れる罪)
日本郵便株式会社
株式会社ゆうちょ銀行
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー