マンションの管理費「1万円」に町内会費が含まれていました。近所づきあいもしないですし、退会できないのでしょうか…?

配信日: 2025.02.08

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マンションの管理費「1万円」に町内会費が含まれていました。近所づきあいもしないですし、退会できないのでしょうか…?
自分が住んでいる地域の町内会や自治会(以後「町内会」で統一)などに、さまざまな理由から加入に消極的な人もいるでしょう。しかし今回のケースのように、マンションの管理費に会費が組み込まれている場合もあるようです。
 
町内会が実施するイベントなどに参加しない場合や近所づきあいが少ない地域などでは、会費を支払い続ける恩恵を感じないかもしれません。このようなケースでは退会を考えることもあるでしょう。
 
しかし管理費の中に町内会費が含まれている場合は、どのような扱いになるのでしょうか。本記事ではその点を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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マンションの管理費の内訳

マンションの管理費には一般的に以下のような費目が含まれています。

●管理人の人件費
●共用設備の保守費や水道光熱費
●事務管理費
●植木や植栽の管理費

まとめると管理費は、マンションや住民に必要なサービス・メンテナンスを提供するためにかかる費用、といえます。
 
しかし管理費の中に「町内会費」が含まれるケースも少なくありません。その理由のひとつとして、マンションがある地域を管轄する町内会が、マンション住民にも地域住民として町内会に加入してもらおうと、新築時にマンション開発側と取り決めをしてしまっているケースもあるようです。
 
町内会としては、マンションの住民から個別に町内会費を徴収するよりも、管理費としてまとめて徴収し支払ってもらう方が負担が少ないのかもしれません。
 

町内会への参加を断ったり退会したりできる?

町内会の主催するイベントなどに参加しないという人や、マンションの所有者であるもののその地域に住んでいないという人などは、町内会への出費が正当に思えず、退会したいと思うかもしれません。
 
もし管理費の一部として町内会費が徴収されている場合、そのまま支払い続けるしかないと考えるかもしれませんが、必ずしもそうではないようです。
 

町内会への加入は基本的に「任意」

基本的に町内会は任意で加入する団体です。例えば新潟市はこれらの組織を、「地縁に基づく任意団体」としたうえで、加入の強制ができないと説明しています。
 
仮に町内会への入会がマンションの管理規約で定められているとしても、法的拘束力があるかどうかは別の話でしょう。
 
以上の点からすると、管理費の一部に組み込まれている町内会費の支払いを拒否することは可能なように思われます。
 

町内会に関する過去の判例

集合住宅に住む人に対して町内会加入を強制できるかどうかについては、過去の判例を参考にできます。最高裁判所による平成17年4月26日の判決によると、裁判要旨は以下の通りです。
 
「県営住宅の入居者によって構成され,権利能力のない社団である自治会の会員は,当該自治会が,会員相互の親ぼくを図ること,快適な環境の維持管理及び共同の利害に対処すること,会員相互の福祉・助け合いを行うことを目的として設立されたものであり,いわゆる強制加入団体でもなく,その規約において会員の退会を制限する規定を設けていないという事情の下においては,いつでも当該自治会に対する一方的意思表示により退会することができる。」
 
つまり町内会への参加は「任意」とされています。この点を見てもやはり、マンションの管理費の一部として町内会費を支払う義務はないと思われます。
 

会費の支払いについて検討したうえで町内会や管理組合などに連絡する

町内会を退会することにした場合、町内会だけでなく管理組合・管理会社などにもその旨を連絡しましょう。納付状況などを確認して過不足分があればそれを精算する必要が出てくる可能性があるからです。
 
ただし性急に退会を決定するのではなく、まず町内会の加入のメリット・デメリットを洗いだして検討することもできます。
 
場合によっては、町内会に参加することで何かしらの恩恵を受けられるかもしれません。その恩恵に対して支払う額がそれほど高額でないなら、退会せずにそのまま残る方がよいと思える可能性もあります。
 

町内会は基本的に「任意加入」|退会できる可能性は高いと考えられる

町内会は任意で加入する団体とみなされるため、原則として強制的に町内会費を支払わされることはありません。もし不要と感じるのであれば、退会の旨を申し出ることができるでしょう。ただしその前に、退会のメリット・デメリットを検討することをおすすめします。
 

出典

新潟市
裁判所 裁判例検索 裁判例結果詳細 最高裁判所判例集 平成16(受)1742 自治会費等請求事件
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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