来月の送別会でコインマジックをする予定です。「本物の硬貨」に細工を施したいのですが、マジック以外には使わないし問題ないですよね?
配信日: 2025.02.08

今回は、本物の硬貨をマジックのために加工してもよいのかについて、ご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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硬貨をマジックのために自分で加工しても問題ない?
日本では本物の硬貨に対して、勝手に加工を施すことは認められていません。貨幣損傷等取締法の第1項では「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない」と定められているためです。
硬貨の加工は損傷行為に該当する可能性があるため、法律違反とみなされる場合があります。もし法律違反と判断されると、罰則が科される可能性も少なくありません。貨幣損傷等取締法の第3項では、貨幣を損傷や鋳つぶしたり、もしくはそのために貨幣を集めたりした場合は、「一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する」と示されています。
例えば、100円玉を加工したことで、20万円の罰金刑に処されたとすると、19万9900円多い負担が生じるでしょう。懲役刑になると、時間的拘束にもなります。
硬貨を加工してできるようなコインマジックは、元から手品用で販売されているものを使用した方がよいでしょう。
紙幣の加工は問題ない可能性もある
貨幣損傷等取締法で罰則が規定されている対象は貨幣のみです。独立行政法人造幣局によると、硬貨は「貨幣」、紙幣を「日本銀行が発行する銀行券」としています。つまり、紙幣は貨幣に含まれません。
貨幣損傷等取締法では紙幣に対する罰則は記載されていないため、例えばマジックのために紙幣を燃やしたり、文字を書いたりしても違法にはならない可能性があるでしょう。
独立行政法人国立印刷局でも、「お札を折り紙として使ったり落書きをしたりすると、何か問題になるのでしょうか?」という問いに対して、「法令上、直ちに違法な行為とは言い切れません」と示しています。
ただし、お札に加工をすると自動販売機やATMなどの機械で使えなくなったり、偽札との見分けがつきにくくなったりする可能性も少なくありません。トラブルにつながる可能性もあるため、できるだけ加工は避けた方がよいでしょう。
さらに、練習用にと紙幣をコピーすると、偽札を作っているとみなされるケースがあるため、やめましょう。刑法第148条によると、偽札を作ったり使用したりした場合は無期または3年以上の懲役が科されます。
硬貨をマジックに使っても問題ないケースとは
硬貨を加工しないマジックであれば、問題ありません。例えば、コインが移動するマジックとして果物のなかに硬貨を入れても、硬貨自体は何も変化していないため問題ないでしょう。また、両面テープやセロハンテープを硬貨に貼り付けてマジックに使用することも、硬貨自体を加工していないため問題ないと考えられます。
前述したように、日本の本物の硬貨ではなく、マジック専用の商品を購入することも選択肢のひとつです。マジックショップでは、海外のコイン風のマジック用品も売られています。コインの見た目にリアリティーを求めるなら、日本の硬貨を使用するのではなくこうした海外の硬貨風の商品を購入するとよいでしょう。
コインマジックを本物の硬貨で行うなら加工がいらないものにしよう
もし本物の硬貨を用いてマジックを披露したいときは、加工の必要がないマジックにしましょう。硬貨を加工すると、懲役や罰金刑が科される可能性もあるためです。もし紙幣でマジックを行う場合は加工しても問題ない可能性がありますが、その後も紙幣を使用することを考えると推奨はできません。
硬貨を使ったマジックをしたいなら、本物の硬貨にこだわらずマジックショップでマジック専用の商品を購入するのもよいでしょう。海外の硬貨風の商品もあるため、リアリティーのあるマジックができます。
出典
e-Govポータル法令検索 貨幣損傷等取締法(昭和二十二年法律第百四十八号) 第一項、第三項
e-Govポータル法令検索 刑法(明治四十年法律第四十五号) 第二編 罪 第十六章 通貨偽造の罪 第百四十八条(通貨偽造及び行使等)
独立行政法人造幣局 貨幣に関すること 貨幣Q&A 貨幣全般について 造幣局では、どうして「硬貨」ではなく「貨幣」という言葉を用いているのですか?
独立行政法人国立印刷局 お札に関するよくあるご質問 その他 お札を折り紙として使ったり、落書きをしたりすると、何か問題になるのでしょうか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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