世帯年収が600万円の場合、子どもを私立高校に通わせるのは難しい? 教育費の相場はどのくらい?

配信日: 2025.02.12

この記事は約 4 分で読めます。
世帯年収が600万円の場合、子どもを私立高校に通わせるのは難しい? 教育費の相場はどのくらい?
子どもに「行きたい学校がある」と言われたら、親としてはできるだけ望みを叶えてあげたいもの。しかし、ネックとなるのは教育費です。
 
私立高校は公立高校に比べ授業料など高いイメージがあり、1年間に掛かる総額も高額になる可能性があります。収入によっては、授業料を捻出することが難しいかもしれません。
 
そこで今回は、世帯年収600万円の家庭の場合、子どもを私立高校に通わせられるのかについて、検証します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年収に対して掛かる教育費の平均的な割合

まずは、一般的に年収に対しどれくらいの割合を教育費に費やしているのか、平均的な額を確認しましょう。
 
日本政策金融公庫の「令和3年度教育費負担の実態調査結果」によると、世帯年収に占める教育費(子ども全員に掛かる費用)の割合は、14.9%です。なお600万円~800万円未満の世帯年収の場合は、15.5%と全体の平均よりも0.6%多く教育費に掛けていることが分かります。
 
教育費を具体的に計算すると、世帯年収600万円の場合は、600万円×15.5%で93万円です。ただし、この数字はあくまでも世帯の子ども全員に掛ける教育費の合計です。子どもが二人いれば93万円の半額46万5000円が目安となります。
 

私立高校で1年間に掛かる教育費

次に、私立高校に通った場合、1年間にいくらくらい掛かるのか確認しましょう。文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、私立高校に入学した年に学校に支払う平均額は、表1のようになります。
 
表1

学校教育費 学校外活動費 総額
私立高校 75万362円 30万4082円 105万4444円
公立高校 30万9261円 20万3710円 51万2971円

出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」を基に筆者作成
 
私立高校に入学した場合に掛かる1年間の教育費は105万4444円でした。世帯年収600万円の教育費の平均額は93万円だったことから、平均よりも多く掛かることになります。
 
高校に入学した後、教育費として掛かるのは高校に支払う額だけではありません。大学受験をするのであれば塾や家庭教師・通信教育を利用する可能性もありますし、受験をしない場合でも、何らかの習い事をする可能性もあるでしょう。
 
さらに多子世帯の場合、子ども一人に多くの教育費を掛けてしまうと、もう一人にはあまり教育費を掛けられなくなってしまう可能性もあるでしょう。
 

私立高校に子どもが通っている家庭の年収分布

私立高校に通った場合、実際に掛かる教育費は平均額をオーバーしてしまいます。では、私立高校に子どもを通わせる世帯の年収は、600万円よりも多いのか確認してみましょう。
 
表2は総務省統計局の「令和3年度子供の学習費調査」を基に、私立高校に子どもを通わせている親の年収分布を表したものです。
 
表2

年収 割合
400万円未満 12.2%
400万円~599万円 16.1%
600万円~799万円 21.4%
800万円~999万円 19.5%
1000万円~1199万円 12.9%
1200万円以上 17.9%

出典:総務省統計局「令和3年度子供の学習費調査」を基に筆者作成
 
私立高校に子どもを通わせている親のうち、最も割合の高い額が600万円~799万円で21.4%を占めます。計算上は、年収600万円の家庭では、私立高校に子どもを通わせた場合、1世帯当たりの平均教育費をオーバーしています。
 
しかし、このデータから、オーバーしても何らかの対策をして通わせている家庭が多いことが分かるでしょう。
 
万が一教育費が足りない場合の捻出方法としては、生活費を工面する、貯蓄を切り崩す、各都道府県などが行っている就学支援制度を活用するなどが考えられます。今後子育てしていくうえで、どの程度の費用が必要となるのかある程度試算し、子どもの進学先を決める必要があるでしょう。
 

世帯年収600万円でも子どもを私立高校に通わせられるが、生活費などの調整が必要となる可能性がある

年収600万円でも、子どもを私立高校に通わせることは可能です。ただし、年収に対する教育費の割合が、平均よりも高くなってしまう可能性があることから、生活費の見直しや就学支援制度の活用などを検討する必要があるかもしれません。
 
いずれにしても、高校卒業後は大学進学する可能性もあるため、将来的にいくらくらいのお金が必要になってくるかを試算し、子どもの進学先を決める必要があるでしょう。
 

出典

日本政策金融公庫 子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少 ~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~ 2在学費用の負担(8ページ)
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査 1学習費総額 表1 学校種別学習費総額の推移(1ページ)
総務省統計局 政府統計の総合窓口(e-Stat)子供の学習費調査/令和3年度 子供の学習費調査 5 世帯の年間収入段階別,項目別経費の構成比
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

【PR】
夫の家事への不安に関するアンケート
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集