子ども2人がそれぞれ「大学」と「高校」に進学する場合、年収「450万円」でやっていける?
国税庁の「令和5年分民間給与実態調査-調査結果報告-」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年収は、459万5000円です。そこで今回は、親の年収を平均と同程度の450万円と仮定し、「大学と高校の費用を同時に賄えるか」を解説します。
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進学に掛かる費用
高校・大学それぞれに進学した場合に必要な費用を確認します。
高校進学に掛かる費用
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、全日制の高校に進学した場合、1年間の費用は、表1の通りです。
表1
| 公立高校 | 私立高校 | |
|---|---|---|
| 学校教育費 | 35万1452円 | 76万6490円 |
| 学校外活動費 | 24万6300円 | 26万3793円 |
| 計 | 59万7752円 | 103万283円 |
※文部科学省「令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します」を基に筆者作成
私立高校には、公立高校の約2倍の額が必要であることが分かるでしょう。
なお、「学校教育費」とは、「授業料」や「通学関係費」「入学金等」「学校納付金等」などを指します。「学校教育費」のうち、公立高校で最も大きな支出は「通学関係費」(9万7738円)で、27.8%を占めます。一方、私立高校で最も大きな支出は「授業料」(23万3102円)で、割合は30.4%です。
「学校外活動費」とは、塾や家庭教師、体験活動、地域活動、自宅学習用などの費用です。国公立高校、私立高校ともに、学校外活動費で最も多い支出は、塾・家庭教師などの「補助学習費」となっています。
大学進学に掛かる費用
次に、大学に進学した場合の平均費用を確認しましょう。文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」によると、令和5年の段階で表2のようになります。
表2
| 国立大学 | 公立大学 | 私立大学 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 授業料 | 入学料 | 授業料 | 入学料 | 授業料 | 入学料 |
| 53万5800円 | 28万2000円 | 53万6191円 | 37万4371円 | 95万9205円 | 95万9205円 |
※文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」を基に筆者作成
こちらも、国公立大学と私立大学で授業料に約2倍の差があります。高校進学と大学進学の平均費用は、最も安い「公立高校+国立大学」で141万5552円、最も高い「私立高校+私立大学」で223万294円となりました。
さらに、高校進学と大学進学が同時だった場合、3年後には大学生が二人いることも考えられ、これ以上の出費となる可能性もあります。年収450万円とすると、二人とも私立大学に通った場合、年収の約半分が教育費となる計算です。
教育費が足りない場合の対処法
年収450万円とすると、子どもが二人とも私立校に入学した場合は、家計をとくに圧迫する可能性があります。入学前までにある程度の資金をためることも必要ですが、ここで検討したい方法が、国の支援制度の活用です。高校で受けられる支援制度には次のものなどがあります。
・高等学校等就学支援金制度
・高等学校等就学支援金制度(家計急変支援)
・高校生等奨学給付金
また、国が行う「高等教育の修学支援新制度」では、大学進学で利用できるさまざまな奨学金制度が提供されています。このほかにも、地方自治体や大学が独自で行う支援制度や、教育ローンを組む方法も考えられるでしょう。
まとめ
年収450万円の場合、子どもが私立高校、私立大学にそれぞれ入学すると、年収のおよそ半分が教育関連の費用になる可能性があります。子どもが一人暮らしをした場合などは、さらに多くの費用が必要です。そのため、場合によっては家計を圧迫する可能性はありますが決して不可能ではないと考えられます。
国や地方自治体、各大学などが行っている支援制度などもあるため、それらを活用することも検討し、最善策を見つけましょう。
出典
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果を公表します
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
